[S22P] PM-P

[S22P-02] Temporary high-density strong motion observation in Wajima city for the 2024 Noto Peninsula earthquake aftershocks

Tatsuo Kanno¹, *Michiko Shigefuji¹, Nobuo Takai², Seiji Tsuno³, Hiroaki Yamanaka³, Masahiro Korenaga⁴, Hiroe Miyake⁵, Kaito Abe¹, Naofumi Nakagawa², Yutaro Aoi², Ouma Fredrick², Ozaslan Bilal³, Hiroki Matsuda³, Towa Ohno³ (1. Kyushu University, 2. Hokkaido University, 3. Tokyo Institute of Technology, 4. Railway Technical Research Institute, 5. Earthquake Research Institute of the University of Tokyo)

2024年1月1日に発生した能登半島地震（M_w 7.5）では，震源域近傍の奥能登地域で多くの地震動被害が発生した．輪島市街地では木造をはじめ鉄筋コンクリート造建物でも大きな被害が生じ，人的被害の要因となった．輪島市街地の強震観測点には，防災科学技術研究所のK-NET輪島観測点（ISK003）と気象庁の輪島観測点（JMA輪島）が東西に約1 km離れて存在しており，本震時の観測記録は共に震度6強であるが，両地点で大きな振幅の違い，周期特性の違いが認められる．また，市街地内での被害の分布には変化があり，地震動特性の空間分布に影響されている可能性がある．この地域は，山地に囲まれた河原田川と鳳至川沿いに広がる細長い沖積平野にあり，直下の構造による地盤増幅特性の違いに加え，2，3次元的な地盤構造の影響が考えられる．本研究グループでは，上記2地点を含む平野を横断するような測線，平野全体をカバーして地盤震動特性の変化を把握可能とするアレー配置で観測点を設置し，余震観測を実施しており，本稿ではその概要について報告する．

余震観測は，鳳至川に沿った輪島港から南西方向へ約3 kmの測線とそれに直交する2つの測線，および河原田川に沿った市街地北部から南へ約2.8 kmの測線とそれにおおよそ直交するISK003とJMA輪島を結ぶ測線上に，2024年6月14～15日に7点，2024年7月26～30日に23点，全30点を設置した．使用した機材は，センサーに過減衰型加速度計JEP-6A3（1V/G，2V/G），ロガーにDATAMARK LS-8800，電源に12Vの自動車用バッテリーを用い，200 Hzサンプリングとしている．これまでに観測された地震記録の例として図1にISK003とJMA輪島を結ぶ測線における，2024年6月19日11:24に石川県能登地方で発生したM_w 3.3の地震の速度波形を示す．HU01はISK003から約500 m離れたより標高の高い地点であるが，ISK003と比較して振幅が大きく，微動観測等により表層地盤の検討が必要である．JMA輪島に近いHU02，および建物被害の集中した市街地に設置したHU04，QU02では後続の振幅が大きく，かつ継続時間も長い．さらに，これらの観測点およびISK003近傍において，単点の微動観測を実施しており，観測記録のうち平穏な区間を選択し，水平動をベクトル合成した後，上下動で除してH/Vスペクトル比を計算した．ISK003では0.2～20 Hzで明瞭なピークは認められず，一方，HU01では2 Hz，他の地点では主に1 Hz付近に明瞭なピークが認められ，地盤構造が変化していることが推測できる．

今後，観測記録の蓄積をもって，各地点および平野全体の地盤震動特性について議論していく．また，観測結果の分析によっては，地点近傍での微動アレー観測等による地盤構造の推定を実施していく．

謝辞　本研究の一部は，東京大学地震研究所－京都大学防災研究所拠点間共同研究の助成を受けたものである．防災科学技術研究所の強震観測記録を使用しました．ここに記して感謝申し上げます．