[S23P-08] 大地震発生後に地殻変動監視を継続するための余効変動除去手法についての検証: 2024年8月8日日向灘の地震発生後の事例
気象研究所は気象庁本庁と連携し、GNSSデータを用いた日向灘を含む南海トラフ沿いの長期的スロースリップ(SSE)の客観検知の解析結果を南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会に毎月提出している。この客観検知手法は、GNSSの各成分データから直線トレンド、人為的オフセット、地震時オフセット、年周・半年周成分を除去した上で、日本海側の固定領域(南海トラフ沿いの監視の場合には中国地方、九州沿いについては九州北西部)の観測点の共通ノイズを全点から引き去り、フィリピン海プレート沈み込みと逆方向の変位を計算し、1年の傾斜期間を持つランプ関数との相関をとることにより、非定常変位を検知するものである[Kobayashi(2017), 小林(2023)]。
小林(2023)は、南海トラフ沿いで規模の大きな地震が発生した場合に、新たなすべりや緩和的な余効すべりから外れた時間経過のすべりは、引き続く地震に関係する現象として注目すべきとした。一方、Kobayashi(2017)の客観検知手法は、余効変動を含む非定常変位を検知するため、余効変動の中に新たなSSEによる非定常変位が含まれていても区別することが難しく、発生した地震に伴う余効変動を除去した地殻変動の監視が必要になるとして、具体的に余効変動の除去を行いながら監視を行う手順を提案している。
2024年8月8日に発生した日向灘の地震(M7.1)では、地震発生後に宮崎県南部を中心に余効変動と考えられる地殻変動を観測している(国土地理院)。本発表では、小林(2023)によって提案された手法にしたがって余効変動の除去を行い、地震後に別の非定常変位が検知されていないか確認した。地震発生から1か月程度の時点で、余効変動がGNSS日値を用いた非定常変位の検知に与える影響は小さい。今後、同様の手法をGNSS6時間値に適用していくことも検討しながら、地震発生直後の解析を行う上での問題点の検証についても行った。
小林(2023)は、南海トラフ沿いで規模の大きな地震が発生した場合に、新たなすべりや緩和的な余効すべりから外れた時間経過のすべりは、引き続く地震に関係する現象として注目すべきとした。一方、Kobayashi(2017)の客観検知手法は、余効変動を含む非定常変位を検知するため、余効変動の中に新たなSSEによる非定常変位が含まれていても区別することが難しく、発生した地震に伴う余効変動を除去した地殻変動の監視が必要になるとして、具体的に余効変動の除去を行いながら監視を行う手順を提案している。
2024年8月8日に発生した日向灘の地震(M7.1)では、地震発生後に宮崎県南部を中心に余効変動と考えられる地殻変動を観測している(国土地理院)。本発表では、小林(2023)によって提案された手法にしたがって余効変動の除去を行い、地震後に別の非定常変位が検知されていないか確認した。地震発生から1か月程度の時点で、余効変動がGNSS日値を用いた非定常変位の検知に与える影響は小さい。今後、同様の手法をGNSS6時間値に適用していくことも検討しながら、地震発生直後の解析を行う上での問題点の検証についても行った。