一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1-OP1-2] 電子お薬手帳(「お薬手帳プラス」)の利用状況分析

川原 善紀, 栗原 邦彦, 陳 惠一, 木村 慶彦 (日本調剤株式会社)

【背景・目的】 
電子お薬手帳は2016年度の報酬改定において、一定の基準を満たすことにより算定上、紙媒体の手帳と同様の扱いとなった。また、厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」によると、「ICTを活用」した「服薬情報の一元的・継続的把握」が期待されており、電子お薬手帳を用いた服薬情報の管理が望まれている。一方、電子お薬手帳の人口比普及率は約1%との推計もあり、普及は進んでいない。そこで、会員数が17万人(2017年6月時点)を越えた弊社開発の電子お薬手帳である「お薬手帳プラス」のデータと弊社薬局を利用する年間300万人の患者データを用いて、「お薬手帳プラス」の利用者属性と利用状況を分析し、電子お薬手帳の利用意義と普及に向けた課題を検討することとした。
【方法】
お薬手帳プラス利用者及び薬局利用者に係るすべてのデータを2016年11月に発行された「個人情報保護に関する法律についてのガイドライン(匿名加工情報編)」に則って匿名加工した上で、利用者の属性や利用状況について、お薬手帳プラス利用者(以下、手帳利用者)と非利用者で比較検討した。
【結果】
属性について、性別割合に関しては手帳利用者は非利用者と比較して大きな差はなかったものの、平均年齢に関しては手帳利用者の方が約20歳若かった。また慢性疾患患者の割合も、手帳利用者の方が高かった。利用状況については、手帳利用者のほうが3ヶ月以内の薬局再利用率などに関して非利用者と比較して高かった。
【考察】
薬局利用割合は高齢者が多いが、手帳利用者では逆に若年層が多かった。これは高齢者のスマホ保有率やITリテラシーなどが影響していると推測される。利用状況に関して、手帳利用者での薬局再利用率が高く、電子お薬手帳の利用は服薬遵守率を高めることが示唆された。