Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-OP2-2] 北海道の将来における患者受療行動予測分析 - 未来に向けた医療資源の適正配置に向けて

谷川 琢海1, 大場 久照1, 西本 尚樹2, 小笠原 克彦3 (1.北海道科学大学, 2.香川大学医学部附属病院, 3.北海道大学大学院保健科学研究院)

【背景・目的】少子高齢化による人口減少が進むなか、過疎化が進む北海道などでは医療資源の減少に伴う医療機能へのアクセシビリティの低下が懸念されている。これらの動きは人口構造の地域差による需給バランスに依存し、地域や時期によってダイナミックに変化するため、将来推計人口に基づいて受療行動を予測することが、未来に向けた医療資源の適正配置を検討するうえで重要となる。本研究の目的は、北海道の将来における患者受療行動を将来推計人口に基づいて明らかにすることである。
【方法】国立社会保障・人口問題研究所が公表している将来推計人口に基づいて作成された「国土数値情報 将来推計人口メッシュ(国政局推計)」データと、国保レセプトデータ(平成22年4月~12月診療分)による患者受療行動データにより、将来における患者受療行動を推定した。解析には、ArcGIS 10.1(ESRI)を用いて解析・可視化を行い、人口減が受診件数の減少に直接的に作用し、圏域内自給率および流出率は不変と仮定した。
【結果】札幌医療圏に隣接する南空知医療圏では、2050年の推計人口は2010年と比較して約51.8%減少することが見込まれた。南空知医療圏の対象期間(2010年)の外来全体の受診件数、圏域内受診件数、流出先トップである札幌医療圏での受診件数により、2050年受診件数を推計した。その結果、外来全体の受診件数は約17万件となり、そのうち圏域内受診件数は約15万件、流出先トップである札幌医療圏での受診件数は1.7万件になると試算された。
【考察】広大な北海道では人口減少に伴う医療資源の減少は、患者の医療機能へのアクセシビリティの低下や地域全体の機能低下につながる。今後、北海道の他の二次医療圏においても推計を行う予定である。本研究の結果は、将来に向けた医療資源の適正配置を検討するうえで重要な基礎資料になると考えられる。