一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-1-OP3-1] 「ITによる見える化」の取り組み ~病院全体の状況を全職員に~

榊原 祥裕 (一般財団法人操風会 岡山旭東病院)

【はじめに】

当院は病床数202床、約500人の職員が働く脳神経運動器の専門病院である。「ITによる見える化」をテーマに、病院全体の状況を全職員に把握してもらう仕組みを構築したので報告する。

【目的】

診療に関する情報は電子カルテ内に網羅されている。それ以外の手集計された情報も毎月会議等で報告され、共有サーバ内に保管されている。しかし、情報の所在を知った上で意識的にアクセスしないと情報が得られない点を課題と認識。意識せずとも情報が得られる仕組みを検討した。

【方法】

①リアルタイム集計

電子カルテのデータベースから自動的に情報を抽出、集計し、結果をHTML出力するプログラムを作成。

②事後集計

所定のフォルダに各担当が集計したファイルを置いておくと、自動的にインデックスをHTML出力するプログラムを作成。

①②で出力したHTMLファイルを全職員が日常的に閲覧するグループウェアのポータルに表示する仕組みを構築した。

【結果】

グループウェアにログインした時点で、意識せずとも病院全体の状況を示す情報が目に入るようになった。全職員に対してアンケートも実施。2週間で全職員の半数近い243人から回答が得られた。グループウェア上での見える化の取り組みについて、94%が認識しており、日常的に確認しているのは65%。個別評価としては、リアルタイム集計3項目(病棟状況、外来状況、手術状況)と事後集計1項目(各種統計データ)の計4項目について、それぞれ58%、34%、36%、47%が役に立っていると回答。評価のポイントとしては、「病院全体の状況把握」と「リアルタイム性」が35%、23%で上位を占めた。

【結論】

今回の「ITによる見える化」の取り組みで、病院全体の状況を日常的に職員に把握してもらうことができるようになった。今後は、情報の可視化から経営改善等の目標達成のツールへと進化させていきたいと考えている。