Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-OP3-5] 仮想化の特性を活かしたバックアップ方式によるデータ復元性の向上と復旧時間の短縮

東 賢剛1, 甲斐 聖人1, 中熊 英貴1, 野口 忠祥1, 松尾 健司2, 佐方 友和2 (1.社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院 医療情報システム室, 2.株式会社ブレス)

【背景】
病院事業の継続や診療記録の保存性を担保するために、医療機関にとってデータバックアップは必要不可欠なものである。当院のバックアップ対象は、多数の部門システムやファイルサーバ、特殊設定のあるクライアントなど複数あり、データに応じてバックアップ形式も多様化している。これまでこれらの複雑なバックアップに対応できる高性能のバックアップ装置を導入し、一元管理を行ってきた。バックアップの内容としてはデータベースやプログラムの実行ファイル、設定ファイルなど別々に取得しているケースが多いため、元の状態に復元できるか不確実性があること、復旧に時間を要することが課題となっていた。当院では2010年にサーバ仮想化を開始し、現在ではシステムの大半を仮想化しており、今後も仮想化を拡大していく方針である。2016年9月のバックアップ装置のサポート終了に伴い、バックアップ方式の見直しを行った。
【目的】
仮想化の特性を活かしたバックアップ方式の変更により、データ復元性を向上させ、復旧時間を短縮する。
【方法】
データベースやプログラムの実行ファイル、設定ファイルなど別々に取得していたバックアップについてOSごと一括バックアップする。復元時にOSインストールやプログラム設置など複雑な復元のプロセスを簡素化する。また、仮想化していないシステムのバックアップについても対応できるよう一般的な仕組みを設ける。
【結果】
バックアップ方式の見直しにより、77の仮想マシンのイメージバックアップを行うことができた。イメージバックアップを標準の仕組みとすることで、システム全体のバックアップ方式を統一することができた。また、仮想化環境に特化したバックアップの仕組みを採用することで、高性能である既存製品を更新するより費用を抑えることができた。