Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-OP3-6] 災害時における病院情報システム稼働状況報告システムの開発

大佐賀 敦1,2, 近藤 克幸1 (1.秋田大学大学院医学系研究科医療情報学講座, 2.秋田大学医学部附属病院医療情報部)

【背景・目的】災害はその発生が予測できず、また昼夜を問わず発生するため、少ない職員で対応できる災害時対策が重要となる。本院では、一定基準の災害発生時には、60分以内に各部署に応じた書式の報告書を提出することとなっており、医療情報部では各業務システムおよびネットワークの稼働状況を報告する。今回、災害時報告を効率化するため、簡便な操作でこれらの稼働状況を短時間で把握し、報告書を作成するツールを開発した。
【システム概要】本ツールは、災害時でも使用できるよう、通常のシステム監視とは独立して単一PCで動作するものとした。また、死活判定は、停電やサーバ・ネットワーク機器の物理的障害による稼働不能の検出に特化し、各機器の作動状況をICMP echo/requestにより確認する方式を採用した。ここで、各システムは、サーバ構成により、1)単一サーバ、2)複数サーバで構成され、全ての稼働が必要なもの、3)冗長構成で、複数サーバのいずれか1つが稼働すれば良いもの、4)前述2)と3)の組み合わせ、があり、得られた情報をシステム単位での稼働可否情報へ集約・整理する必要があるため、同機能を追加し、その結果を報告書の書式で作成する機能を実装した。
【機能評価】本システムによる報告書作成の所要時間を計測し、機能を検証した。システム(32システム、サーバ72台)、ネットワーク機器(141台)の稼働状況の確認に要した時間はいずれも2.8秒以下であった。また、確認結果をシステムの粒度での稼働可否および建屋の粒度での通信可否へ整理し報告書を作成するに要した時間は、それぞれ0.9秒および21.4秒で、両者に大きな差が見られた。この原因を検証したところ、確認結果の集約作業が、1つの粒度に集約される機器数に依存して大きくなる事が確認できた。また、本システムを本院の災害対策訓練で実際に利用したところ、短時間での報告書作成・提出ができ、実場面での有効性も確認できた。