Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-PS1-1] NDBオンサイトリサーチセンター(京都)における運用の報告

大寺 祥佑1, 酒井 未知1, 加藤 源太2, 黒田 知宏1 (1.京都大学医学部附属病院医療情報企画部, 2.京都大学医学部附属病院診療報酬センター)

レセプト情報・特定健診等データベース(以下、NDB)は、医療保険請求に関する国内最大のデータソースである。医療ビッグデータの活用に対する社会的関心が高まる中、NDBを用いた医療の実態把握や新たなエビデンスの創出に期待が寄せられている。しかしNDBを利用するには適切なセキュリティ環境の確保が求められ、研究者等にとっては大きな参入障壁となってきた。そこで、あらかじめ万全なセキュリティ環境を整えてNDBのデータ利用前に生じる負担を軽減することで、より多くの研究者等が利用できる仕組みを目指して、レセプト情報等オンサイトリサーチセンターが設置された。
2016年2月、京都大学でレセプト情報等オンサイトリサーチセンター(京都)(以下、オンサイト京都)の試行的利用が開始された。オンサイト京都では、NDB分析基盤のパフォーマンス検証や運用体制の構築に向けた検討を行ってきた。分析基盤のパフォーマンス検証では、操作環境の各種アプリケーションによるデータ抽出や統計解析における特徴を整理した上で、過去にNDB特別抽出によるデータ提供を受けた疫学研究と同様の分析をオンサイト京都でも実施し、分析所要時間や操作感覚等について特別抽出を利用した場合とオンサイト京都を利用した場合の違いを調べた。運用体制の構築に向けては、今後オンサイト京都を学外の研究者等が利用することを想定して、実際に発生しうる設備破損等の施設利用に絡む問題について学内の関連部署および厚生労働省との調整を行い、規程類を整備した。加えて、レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの持続的かつ円滑な運用を可能とするために必要な資源の試算も行った。
当セッションでは、これまでのオンサイト京都における試行利用の経過を報告するとともに、レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの特性を活かしたNDBの利用促進に関する今後の方策について議論したい。