Japan Association for Medical Informatics

[2-E-3-OP15-1] 複数の大規模医療情報データベース間で統合解析するための連携手法について
-MID-NETと小児と薬情報収集システム-

野中 小百合1, 藤井 進1, 原 めぐみ2, 山田 クリス孝介1, 南雲 文夫1, 栗山 猛3, 矢作 尚久5, 末岡 榮三朗1, 中島 直樹4, 康 東天4 (1.佐賀大学医学部附属病院, 2.佐賀大学医学部, 3.国立成育医療研究センター, 4.九州大学病院, 5.慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)

【目的】
 複数の医療情報データベースを連携して、情報基盤を拡大するには、各データベースの目的や特徴を理解して相互に補完する形での連携が必要である。今回PMDAらが構築しているMID-NETと成育医療研究センターらが構築している小児と薬情報収集システム(小児Sys)との連携を例に検討したので報告する。
【方法】
 MID-NETと小児Sysについて理解するため、事業団体や目的、データ規模や属性、運用方法や集積対象データ、提供される機能等に分類し比較表を作成する。さらに比較表を用いて複数のデータベース連携方法を様々なレベルの手法でパターンに分けて検討する。
【結果】
 比較表は計67項目となった。データ数では患者ID数かデータ保有患者数か、精度管理では比較粒度が異なり、データ規模・精度の比較が困難であった。一方で標準化のレベルや利活用のための同意取得方法など比較する上では有用であった。
 連携手法は精緻な個々のデータベースシステムの連携(システム連携)や、整合されたデータを持ち寄る連携(データ連携)、個々のデータベースの解析結果の連携(メタ解析連携)の3つのモデルが考えられた。
【考察】
 比較表においては患者数の定義や精度管理におけるレベル分けに課題が生じた。患者数は統計解析が目的であることから、検査・病名・処方が一定量あることを前提にカウントすべきと考える。また精度管理では先行事例が少ないことから、詳細なバリデーションが実施されているMID-NETを軸に、件数確認、値確認、比較項目などの定義をすべきと考える。
 連携手法では、個々が完全不可逆匿名化データであるため、患者の突合は出来ないことから、経時的変化を解析することは困難である。またデータの共通性が低いため、解析モデルはデータ連携やシステム連携よりも、メタ解析モデルが最適と考えられた。
【結語】
 今後はメタ解析モデルで具体的な計画立案し連携効果を検証する。