Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-OP4-3] 死亡症例報告書システムの構築

村田 泰三, 武田 理宏, 中川 彰人, 上田 加奈代, 藤井 歩美, 真鍋 史朗, 松村 泰志 (大阪大学医学部附属病院 医療情報部)

2016年に厚生労働省令(医療法施行規則)が改訂され、院内の死亡・死産症例を漏れ無く把握し、院長へ報告する体制の確保が必要となった。当院では、医師が文書システムを用いて死亡・死産症例報告書を記載し、院長に報告される運用とした。システムがこのワークフローを支援するためには、報告書記載を医師に促す機能、報告書の記載内容を定義する機能、記載内容を集計する機能が必要となるが、これらはすべて電子カルテの既存の機能で対応可能であった。
当院の死亡・死産症例は、年間の退院患者の1%と頻度が低く、すべての医師が漏れなく報告書を記載するためには何らかの通知が必要となる。ToDoシステムは、電子カルテで医師にやることリストを提示するシステムで、システム管理者が定義する条件を満たした症例に対して文書作成通知を出す機能がある。死亡症例は、電子カルテの退院登録の際に、転帰を「死亡」を選んだ場合、死産症例は、患者基本情報の妊娠歴・出産歴の転帰で「死産」が選んだ場合をトリガーにToDo通知を作成することとした。
報告書は、記載内容を定義し集計を可能とするため、「主病名」、「死因」、「事例の分類」、「事例への対応」、「治験」、「臨床研究」の項目をテンプレートで作成した。「事例の分類」では、医療の起因、予期せぬ症例を選択形式で登録できるようにした。
データの集計は、Webシステムであるデータマートから行う。データマートでは、診療科毎にアクセスIDを与え、診療科長が自科症例だけをチェックできるWebビューアを作成した。記載漏れがあった場合に、診療科長は担当医に記載を促す指導を行う。また、全科のデータにアクセスできるIDを用いて、事務職員が定期的に集計を行い、委員会資料として提出の上、審議後、病院長へ報告がされる。
2016年10月から2017年05月に150例の死亡・死産症例が発生したが、そのすべての症例に対して死亡・死産症例報告書が作成されている。