Japan Association for Medical Informatics

[2-F-3-OP10-1] テキストマイニングの手法からみた電子カルテサポートデスクの2年間の内容分析

中川 肇1, 保田 明夫2, 辻岡 和孝1 (1.富山大学附属病院医療情報部, 2.富士通FIPシステムズ)

1.はじめに: テキストマイニングはテキスト型データの探索型解析アプローチに適した手法である、われわれは、2015年1月の新電子カルテ導入から2年間における医療情報部のヘルプデスク(内線番号を指定)で得られたエンドユーザからの問い合わせ事項 (以下問い合わせ)をテキストマイニングの手法で分析した。また、この結果とリハーサル内容とを照合した。その結果、今後の導入・保守。管理に有用な結果が得られたので報告する。
2.対象と方法: 新システム稼働以来、サポートデスクで記録されエクセルファイルとして保存されている問い合わせ549件(2015年348件、2016年201件)を対象とした。分析ソフトはWord Minorを使用した。形態素解析エンジンはHappiness/BASAE5である。シリアルナンバー、日付、部署、所属、職種、連絡内容、対応内容を構成要素とした。患者氏名、IDは削除し、csvファイルに変換した。
3.結果: 職種毎の検討では、医師では画面、表示、結果、入力、手術、処方などアプリ関連、看護師では入力、表示、実施、一覧、端末などアプリとハードウエア関連の用語が頻出していた。事務職員で表示、画面、入院など業務とハードウエア関連の用語が頻出していた。2015年と2016年との比較では看護師でiPODが予想に反して2016年に上位に出現していたことが特徴であった。
4.考察: 自由文記載のアンケート等の分析にはテキストマイニングが適している。エンドユーザからの電話は表現の差異が極めて大きく、また、新システムのために画面展開における表現も正確でない場合が多い。このため、今回はヘルプデスクにおける二年分の内容をこの手法で分析した。目的は二つあり、今後のシステムの改善の資料とすることと操作訓練やリハーサルの検証の資料とすることである。この分析により、①オーダやサマリの修正、中止、②転科転棟の処理、③端末操作の簡便化は依然として今後の課題であることが明らかになった。