Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-OP13-4] レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)利用促進に向けた取り組み -1入院1データ化-

明神 大也1, 野田 龍也1, 久保 慎一郎1, 西岡 祐一1, 東野 恒之2, 今村 知明1 (1.奈良県立医科大学 公衆衛生学講座, 2.(株)三菱総合研究所 ICTイノベーション事業本部)

【背景】レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の生レセプトは月単位で記票されており患者毎の入院期間が把握しづらいため、入院情報を解析するためには、1入院1データ化が必要となる。従来の方法は、DPCの生データと医科入院データをEF化した上で、DPC分析ツール上で処理していた。しかし全国1年分のNDBデータを対象とするとデータ容量が440GBから12.3TBと大きく増加する上、処理に約7ヶ月間を要するため、継続して実施することが現実的に困難であった。そこで本研究では、データ容量の増大を抑えて処理時間を大幅に短縮した1入院1データ化手法を開発した。
【方法】平成25年4月から平成26年3月のNDBデータ(医科入院・DPC)を用いた。医科入院とDPC出来高については、入院基本料の算定日を入院日とみなし、ID0・医療機関コード・病棟区分をキーにして、入院日が途切れるまでを1入院として再構成した。DPC包括についてはすべて入院日とみなした。摘要情報(診療行為/医薬品/特定器材レコード)についても上記の1入院化したテーブルとキーが繋がるように再構成を行った。全国1年分について処理したところ約3日間で完了し、処理後のデータ容量は元のレセプトの4倍程度に収まった。なお、ID0は当教室で開発し、ID1/ID2での名寄せを精緻化したものである。
【結果】平均在院日数を求めたところ、一般病棟では男性30.4日、女性35.6日、特定機能病院では19.4日だった。厚生労働省発表の平成27年度推計平均在院日数は、一般病棟で23.2日、特定機能病院で16.7日となっており、2年間の差を考慮すると、ほぼ信頼に足りる結果と考えられた。
【結論】データ容量の増大を抑えて、1入院1データ化を高速に処理することが可能となった。将来的に、入院外レセプトにも適用し、1患者1データ化の実現につなげる予定である。