Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-OP13-6] レセプト情報を活用した糖尿病患者の生活習慣因子に影響する要因の可視化:ベイジアンネットワークモデルによる分析

田村 菜穂美1, 鈴木 哲平2, 石川 智基2, 辻 真太朗2, 榎本 尚司3, 永井 亘3, 小笠原 克彦2 (1.北海道大学大学院保健科学院, 2.北海道大学大学院保健科学研究院, 3.岩見沢市健康福祉部健康づくり推進課)

背景および目的近年、我が国では糖尿病患者数が増加し続けており、その合併症による医療費の増加も大きな問題となっている。糖尿病の慢性合併症である糖尿病性腎症の悪化によって透析導入となった場合、その医療費による自治体への医療財政負担は非常に大きく、糖尿病患者が透析導入とならないための生活習慣改善支援が必要であるが、これまでに生活習慣因子の因果関係を考慮した支援施策の提案は行われていない。そこで本研究では、糖尿病患者の生活習慣改善への効果的な支援を目的として、糖尿病患者の生活習慣因子間に存在する因果関係の可視化を行った。
【方法】2013年度岩見沢市国保レセプトデータの傷病名称「2型糖尿病」を有する患者データのうち、2013年度特定健診データを有する6,385名の性別、BMI、腹囲、喫煙の有無、20歳からの体重変化、(週2日以上の)30分以上の運動習慣、歩行又は身体活動、歩行速度、1年間の体重変化、食べ方(早食い、就寝前、間食)、食習慣の変化、飲酒の頻度、睡眠状況、生活習慣改善の意思、保健指導の希望を抽出し、ベイジアンネットワークモデルによって各事後確率を推定し、得られた事後確率を変化させることで、生活習慣改善に大きく寄与する要因の分析を行った。
【結果及び考察】「30分以上の運動習慣」、「BMI」、「飲酒の頻度」の3項目が、「生活習慣改善の意思」に影響を与えていることが明らかになった。特に影響の大きい「30分以上の運動習慣」については、30分以上の運動習慣がある事後確率を0.44から0.60に変化させることで、生活習慣改善の取り組みを行う事後確率が0.41から0.46にさせることが明らかになった。また、30分以上の運動習慣に影響を与える要因は歩行又は身体活動のみであったことから、運動習慣定着の為の施策が効果的であると考えられる。本結果から、運動習慣を定着させるための要因について、今後の調査・分析が必要と考えられる。