Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-OP13-7] データヘルス計画の評価モデルの構築の試み

山下 哲平, 武田 裕 (滋慶医療科学大学院大学)

1.目的
保険者(健康保険組合等)が保有するレセプトや、事業所から提供された健診データなどの情報を活用し、加入者の健康づくりや疾病予防、重症化予防を行う事業をデータヘルス計画(以下DHP)と称し、2015年度からの実施が義務付けられた。一方、データ項目が多くかつ年次別に推移するため、本研究では、DHPの客観的評価手法の確立を目指すこととした。
2.方法
大阪府下のA総合健康保険組合(以下A健保)が有する年間約2.5万人の特定健診データ、検診当日アンケート調査、レセプトデータを当健保組合員ごとに紐付けたのち匿名化された多変量時系列データを対象とした。
A健保のDHPは、(1)特定健診データから高血圧症(HT)、糖尿病(DM)と両者合併(HD)の管理対象者の抽出ルールを定め、(2)管理対象者のレセプトデータから、直近6月に2月以上HT、DMの傷病名を有する者を治療中(D1)、それ以外を未治療(D2)とし、計4群を区分した。直近3年(2013,2014,2015)の治療中群、未治療群の血圧値、空腹時血糖値の平均値(M)、標準偏差(SD)を求め、年次推移を分析した。
3.結果
年次ごとに13000‐15000件のデータを収集した。HTでは、D1群でM低下とSD縮小、D2群でM上昇とSD増大。DMでは、D1群ではM,SDともに不変、D2群でM上昇、SD増大を認めた。その結果、A健保におけるDHPは、まず未治療群の受診勧奨を強力に推進する必要性が認められた。
4.まとめ
重篤化すると重大な疾病を発症するHT,DMを管理するためにA健保で実施されているDHPを評価するために、治療、未治療群のM、SDを分析した。まだ予備段階の調査であり、DHP評価の手法として今後さらにデータ収集と分析を精緻化することが求められる。