Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-OP11-6] Health Information Watcherによるネットパトロールの可能性

辰巳 治之1,2, 三谷 博明2, 水島 洋3,2, 山野辺 裕二4,2 (1.札幌医科大学大学院 医学研究科 生体情報形態学, 2.日本インターネット医療協議会, 3.国立保健医療科学院, 4.社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 法人本部情報部)

インターネットの出現により医療も大きく変わってきた。昭和の時代にインターネットに触れ、その普及を夢見て、色々な活動(JCRN, JPNIC, NORTH)をする中で医療ヘの応用を考え、旧科技庁のプロジェクトとして医療研究への応用(H7~11)や生活工学(H8-12)への応用を担当し、情報弱者救済のシステムの提案を行なった。その研究成果の社会的応用として、平成10年に日本「インターネット医療協議会(Japan Internet Medical Association:JIMA)」を設立し市民活動として続けて来た。そこで今までの調査研究を行なって来た成果を発表するとともに、「情報薬」という観点から考察を行う。
当初は、情報発信時のガイドラインとして、1. 情報提供者の明示、2. 問い合わせの窓口がある 3. 利用者が正しく情報を選択、利用出来るように配慮してあり、「情報利用の自己責任原則」が告知されていることを提案した。そして社会的な自主規制の枠組みとして、JIMAに参加し、この三原則を遵守しているところにJIMAマークを付けることにした。厚労省も医療機関のホームページは広告に該当せずという見解であったが、インターネットが普及するに従い、色々な例が散見されるようになり平成19年には「医療広告ガイドライン」として医政局長通知があった。さらに、平成24年には、「医療機関ホームページガイドライン」が周知された。
 我々は、平成15年に、「eヘルス倫理コード」として、細かく医療情報の発信のあり方について示したが、その後平成19年にVer2.0を発表し、平成29年には、Ver.3.0を発表する予定である。時を同じくして、改正医療法が平成29年6月に成立し、医療機関のHPの誇大表現などが規制対象となった。そこで我々が独自で実施してきたHealth Information Watcherによるネットパトロール事例を紹介する。
 このような種々の経験から、情報は薬のように働きうるというところから「情報薬」という概念を提案し、更にそれを拡張し、細胞を動かし心を動かし効果を発揮するものと再定義し、非常に幅広い観点から医療におけるIT応用を考察する。