Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-OP14-1] EHRの利用に関する影響因子の検討

松本 武浩1,2, 岡田 みずほ3, 西口 真由美2,3, 江副 智美2,3, 一橋 了介2, 本多 正幸1,2 (1.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学講座 医療情報学, 2.長崎大学病院 医療情報部, 3.長崎大学病院 看護部)

【背景】ICTを使った地域医療情報システムは全国に普及しつつあるが、活発に利用されていないケースも散見される。長崎県のあじさいネットはすでに65000名以上の患者登録がみられ全国トップレベルの運用数であるが、施設毎にみるとその登録数には施設間差がみられる。
【目的】地域医療情報システムの利用に対する影響因子を検討する。
【対象と方法】2016年4月より2017年3月までに情報提供病院としてあじさいネットに参加している29病院の病床数、地域の閲覧施設数、運用期間および共有項目として医師記録、看護記録の有無と登録数との関係を検討した。
【結果】総登録数は10,300、1施設の平均登録数は355.2±567.6(7~2,858)、運用期間と医師記録共有の平均はそれぞれ63.8ヵ月と49.4ヵ月。医師記録共有は23病院で平均登録数は433±615.8に対し未施設56.8±31.5、看護記録共有は20病院で平均登録数は473.2±651.7に対し未施設93.0±82.9といずれも共有例の登録数が多かった。一方、平均運用期間以上の14病院、平均医師記録共有期間以上の10病院はいずれも平均未満の病院よりも登録数が多かった。また病床数300以上の12病院は300未満よりも登録数が多く、後者の17病院においても医師記録共有の13病院の平均登録数が未共有病院より多かった。また登録数を利用医療圏の参加施設率(参加施設数/医療機関数)で徐した補正登録数の平均を4中規模医療圏で比較した結果、離島地域を除きほぼ大差ない結果だった。
【考察と結論】地域医療情報システムの利用は病院毎に差があるが、利用医療圏の参加施設数で補正すると中規模医療圏毎には大差なく、運用期間が長いほど、病床数が多いほど利用される傾向があり、共有対象としては医師記録、看護記録の共有している病院のほうが利用されている傾向が示唆された。