Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-OP14-3] 効率・効果的な診療とプライバシーを両立したゲノム診療用電子カルテ機能の開発

山内 玲1, 美代 賢吾2, 宮本 恵成2, 長澤 直人3, 奥村 恭平1, 石割 大範2, 小南 亮太2, 中川 陽介2, 加藤 規弘2 (1.日本電気株式会社, 2.国立研究開発法人 国立国際医療研究センター, 3.NECソリューションイノベータ株式会社)

【背景・目的】
ゲノム情報は生涯変化せず、血縁者同士で一部共有されているため、特に高い機密性が求められる。このためゲノム情報は、電子カルテとは異なる独立したシステムもしくは紙カルテで保存・管理することが一般的に行われている。近年、次世代シークエンサーの出現によりゲノムデータを容易に取得できるようになり、今後ゲノム診療が急速に拡大すると考えられ、ゲノム診療の電子カルテ化が期待されている。そこで国立国際医療研究センターと日本電気株式会社で、効率・効果的な診療とプライバシーを両立したゲノム診療用電子カルテ機能の開発を行った。
【開発方法】
1.現状のゲノム診療運用フローを調査し、ゲノム診療科医師からヒアリングを行い、要求要件をまとめた。
2.要求要件に従い、システム開発を行った。
【結果】
1.要求要件の概要
ヒアリングから電子カルテで扱うゲノム情報は、遺伝子検査結果、遺伝カウンセリングの記録と定め、以下の要件を抽出した。1)通常の診療情報とゲノム情報を分離し、2)電子カルテ上で、ゲノム診療科ユーザのみゲノム情報が閲覧できること。3)DWHからゲノム情報抽出時に個人が特定できないこと。
2.開発システムの概要
ゲノム診療を受診する患者は通常診療用の診療カルテとゲノム情報を含むゲノムカルテの2種類のカルテを作成する。ゲノムカルテは匿名化し、診療カルテとの連結情報を管理する機能を開発した。ゲノム診療科ユーザはこの機能を用いて、患者とゲノム情報を結合し診療を行える一方、ゲノムカルテ単体では個人を特定できないシステムを構築した。
【考察とまとめ】
本開発により、電子カルテ端末からゲノム診療の経過が参照可能となることで、これまでの紙カルテでの運用より診療の効率が実現できると考えられる。今後運用を進める中で、課題を抽出し機能改善を図っていく計画である。