Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-OP14-6] 多施設間の安全なデータ収集を目的としたSS-MIX2標準化ストレージ開発の試み

田中 勝弥1, 山本 隆一2 (1.東京大学大学院医学系研究科, 2.医療情報システム開発センター)

[はじめに] 現在多くの施設で導入されているSS-MIX2標準化ストレージは、ファイルシステムとしての制約から、患者横断的な診療データの検索に時間がかかる欠点があり、多施設間横断的な診療データの収集に用いるためには、別途データベースを構築し双方を同期させて運用するなどの追加コストが発生する。また、大規模なデータ収集時は解析に必要のないデータ項目が含まれるHL7ファイル群の収集が必要となり、データ項目ごとの収集制御が困難である。本稿では、SS-MIX2標準化ストレージ自体を単一のリレーショナルデータベース(RDB)により実装する手法を提案する。また、患者横断的なデータ収集における検証についても報告する。

[方法] Oracle DBFS(Database File System)を使用し、SS-MIX2標準化ストレージを構築する。ファイルシステムとしての機能をRDB上に実現し、各HL7v2形式ファイルはBLOBとしてメタ情報とともに同データベースに格納する。ファイルシステムとしての更新をデータベース上のトリガーにより追跡し、ファイルのメタな更新情報をリアルタイムに保持させる。HL7セグメントごとのデータ項目は、更新情報をもとに定期的にパースし、同一データベース内の別テーブルへHL7セグメントごとに格納し、外部から検索可能とする。

[結果] 提案した方法により、処方オーダ情報(OMP-01)を対象にパースモジュールをPLSQLを用いて作成することが可能であった。ファイル更新情報をデータベースとして監視することにより、拡張インデックスデータベースの作成も可能であることが確認できた。

[おわりに] 単一のRDBを使用してSS-MIX2標準化ストレージを実現することにより、患者横断検索のためのリポジトリの自動構築が可能となった。処方以外のデータファイルへの本提案方式の適用、大規模データ格納時の性能評価、多施設間での安全なデータ収集基盤としての運用可能性、について今後検討を進める予定である。