Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-HD1-1] アナログ回路におけるノイズキャンセル技術を用いた心電図・血圧測定が可能な腕時計型ウエアラブルデバイスの開発と評価

深津 博1, 遠藤 寿2, 吉村 一哉2, 濱田 裕次2 (1.愛知医科大学, 2.SIMPLEX QUANTUM株式会社)

目的:心電図と血圧の測定が可能な腕時計型のウエアラブルデバイスを開発し、評価を行う。
デバイス:腕に装着する部分の素材は生体に影響のないABS樹脂を使用、電源としてリチウムイオン充電池 3.7V 、45mAHを用いた。通信はBluetooth / BLE、送信周波数2.4GHz / 送信電力1mW(0dbm)で10mの範囲で無線通信を行う。消費電流は動作時 3mA (心電・心拍動作時)、入力インピーダンス100MΩ以上、連続使用時間は5日(環境温度25℃)、生活防水+ IPX7で、対応OSはiOSとAndroidで、表示装置として有機ELディスプレイを搭載した。心電図(第一誘導)・血圧(計算値)の他に歩行・歩数距離・カロリー消費量 ・脈波 ・睡眠時間・時計/アラーム に対応し、サンプリングレートは512Hz(最大)である。
評価:20名の成人ボランティアに対して心電図を取得し、内科医2名がデータの質を5段階(1:非常に不良、2:不良、3:評価可能、4:概ね良好、5:非常に良好)で評価した。評価点は平均4.4点と良好であった。
他の類似デバイスが一般にデジタルフィルターによるノイズ低減を行うのに対し、本デバイスはアナログ回路におけるノイズキャンセル技術を用いており、素データとして高品位の心電図計測が可能である。
血圧は本デバイスによる脈波データと心電図の波形からMoens-Korteweg式により伝播時間を算出し、計算値を示すものである。20名の成人ボランティアに対して市販の自動血圧計の実測値と比較を行ったが、5%以内の誤差範囲内であり十分な信頼性が示された。
考察:心電図と血圧の測定が自宅でも外出先を問わずいつでも可能な本デバイスは、高血圧や不整脈患者の日常における実態を個別に把握し、正確な診断や、薬剤の効果の判定、緊急時の通報等に適用が可能であり、今後幅広い範囲での応用が期待される。