Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-HD1-3] 自由発話による認知症スクリーニングを支援するアプリケーションの開発

柴田 大作1, 伊藤 薫1, 若宮 翔子1, 宮部 真衣2, 木下 彩栄3, 荒牧 英治1 (1.奈良先端科学技術大学院大学, 2.諏訪東京理科大学, 3.京都大学)

【背景・目的】
我が国の急激な高齢化に伴い,認知症高齢者の数が増加している.法改正により70歳以上の高齢者の免許更新の際に認知機能検査の受診が必要となるなど,認知症は以前と比較して身近な疾患となっている.認知症には大きく分けて8種類あるが,本研究では患者数が最も多いアルツハイマー型認知症を対象とする.アルツハイマー型認知症は治療することが難しいが,セラピーなどによりその進行を遅らせることは可能である.そのため早期に発見することが重要である.アルツハイマー型認知症の特徴の一つとして言語能力の低下が挙げられる.会話から言語能力を測定し,僅かな変化を察知することができれば,アルツハイマー型認知症のスクリーニングに大きく寄与することが可能だと考えられる.
そこで我々はアルツハイマー型認知症の早期発見を支援する言語能力測定アプリケーションを提案する.
【システム概要】
アプリケーションはApple社製の統合開発環境であるXcodeで開発し,iPhoneもしくはiPadへの実装を行う.言語能力測定は,被験者に「最近,楽しかったことはなんですか」という質問に対して1分間,自由に発話してもらうことで行い,言語能力は以下に示す4つの尺度で測定を行う.
Type Token Ratio: 発話におけるType(異なり語数)とToken(延べ語数)の比率を示す.
Japanese Education Level: 発話における使用語彙の難易度を示す指標である.
Frequency per User popularity: 発話における語の特殊性を示す指標である.
Emotions Ratio: 発話における感情語の使用割合を表す.
【おわりに】
本捗録では,開発したシステムの概要について述べた.今後,開発したシステムを実際に使用してもらい,ユーザビリティなどの評価を行う.