Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-HD2-1] 画像診断知識ベースを利用した画像診断ナビゲーションの開発

笹井 浩介1, 下江 裕子1, 三原 直樹2, 打田 佐和子3, 仲島 信也4, 仲野 俊成5, 黒田 知宏6, 玉川 裕夫7, 朴 勤植8, 松村 泰志9, 宮本 正喜10 (1.特定非営利活動法人メディカル指南車, 2.国立がん研究センター中央病院 医療情報部, 3.大阪市立大学大学院 医学研究科 肝胆膵病態内科学, 4.仲島クリニック, 5.関西医科大学 大学情報センター, 6.京都大学医学部附属病院 医療情報企画部, 7.大阪大学歯学部付属病院 口腔総合診療部, 8.大阪市立大学医学部附属病院 医療情報部, 9.大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 10.サニーピアクリニック)

【目的】X線、超音波、内視鏡等の画像検査は、臨床に直結した検査方法として重要な手段となっている。しかし一方で、画像検査により得られる生体内の多くの情報を正しく理解して診断や治療に役立てることのできる専門医の数は限られている。そのため臨床現場では一般の医師が画像診断を行うことが多く、技師による読影補助が要求される。こうした状況から、専門医の知識や経験に基づき診断をナビゲーションしたり、効率よく画像診断能力を向上させるシステムが要求されている。
【方法】そこで我々は、基本部位、基本所見、追加所見、診断等で構造化され、画像診断に必要な語彙と語彙の関係および関係強度を定義した画像診断知識ベースと、症例画像、性別/年齢、確定診断、前記知識ベースに基づき構造化した所見レポートで構成される画像症例データベースを開発してきた。さらにこれらの成果を利用して、基本部位、基本所見、追加所見からの診断ナビゲーション、類似症例参照、所見レポート作成、所見解説、病状の解説等の機能を提供すると共に、画像診断能力を効率的に向上できるシステムを提供してきた。
【結果・考察】このシステムを用いて、医学生、研修医、医師、技師等多くのユーザに対してモニター調査を行ってきた結果、これまでの基本部位や所見から診断をナビゲーションする機能とは逆に、診断を選択すると頻度の多い所見や基本部位を示唆してくれるようなナビゲーションが可能であれば結果から原因に遡ることができるので、画像診断における知識や経験をより理解、習得しやすいとの意見が多く見受けられた。そこで、画像診断知識ベースにおける語彙と語彙の関係を利用して、診断を選択すると頻度の多い所見や基本部位をナビゲーションできるシステムを開発してこれまでのシステムに付加した。今回、開発したシステムの効果を具体的に提示することにより、臨床現場や教育施設等での有用性を具体的に提示する。