Japan Association for Medical Informatics

[2-K-1-HD2-2] 医療保険オンライン資格確認及び医療機関受診記録生成システムの開発

福田 賢一1, 小尾 高史1, 岩丸 良明1, 永田 和之1, 鈴木 裕之1, 平良 奈緒子1, 中嶋 秀樹2, 長澤 潔2, 石原 聰2, 大山 永昭1 (1.東京工業大学, 2.一般財団法人ニューメディア開発協会)

我が国政府は医療保険のオンライン資格確認を2018年度から段階的に運用開始、2020年から本格運用を目指すとしており、現在、そのためのシステムの開発が進められている。当該システムでは、患者が医療機関の窓口でマイナンバーカードを提示し、ネットワーク経由でリアルタイムに公的個人認証サービス(JPKI)を利用した認証を行うことで、予め紐付けておいた保険資格情報を医療機関に返すことが想定されている。このため、例えば月曜日の朝のように外来受診が集中する時間帯には大量の認証要求が発生してレスポンスが悪化し、医療機関窓口に混乱を生じさせる懸念がある。また、システムへの接続が不通になった場合には保険資格確認が全く行えなくなる。この問題を解決するには暗証番号の入力なしでJPKIの利用者証明機能を用いるために必要となる認証(特定機関認証)をオフラインで行う方法が考えられる。しかし、その実現のためには、特定機関認証を行うための秘密鍵や端末の管理等についてセキュリティ面での考慮が必要である。
こうした背景の下、我々は、医療機関に設置して特定機関認証をオフラインで実施可能とする保険資格確認用端末及びそれを利用した保険資格確認システムを開発したので、その概要を発表するとともに試作した実機によるデモを行う。また、開発した端末には、別途演題「医療保険のオンライン資格確認を活用した個人医療情報管理の実現手法について」で示す「誰が・いつ・どの医療機関を受診した」という電子的な証跡を生成する仕組みを実装している。
当該システムは、医療保険のオンライン資格確認システムの安定運用に大いに資することが期待される。また、安価で容易に設置できるように配慮しており、医療機関での導入も円滑に行えるものと期待される。この基本原理はマイナンバーカードを用いたデジタルチケット等にも適用可能であり、様々な分野への展開が見込まれる。