Japan Association for Medical Informatics

[2-L-1-PP1-1] 病棟ネットワーク機器更改における取り組みとその課題

田山 智幸1, 中村 直毅2,3, 千葉 雅俊1, 葭葉 純子2, 伊藤 和哉2, 末永 洋子1, 中山 雅晴2,3 (1.東北大学病院 医療情報室, 2.医学系研究科情報基盤室, 3.東北大学病院 メディカルITセンター)

東北大学病院(以後、本院)は、1225の病床数を有し、平成12年に西病棟、平成18年には東病棟が地上18階の1846㎡にて竣工された。竣工から10年以上が経過し、老朽化したネットワーク機器の更改が喫緊の課題となっていた。今回、東病棟・西病棟のネットワークを更改するにあたり、限られた費用の中で、ネットワークの物理構成および論理構成を抜本的に見直し、安定かつ高速なネットワークを実現することを目的としている。本稿では、本院における取り組みの概要とその課題について報告する。
ネットワーク更改前は、東病棟・西病棟を複数の建物に見立てて10ブロックに分割し、東病棟・西病棟内はそれぞれ2つに分割してネットワークを構成していた。そのため、建屋集約スイッチが10セット配置されるとともに、建屋集約スイッチに収容されるフロアースイッチも各階4セットずつ配置する構成となっていた。新ネットワークにおいては、建屋集約スイッチは、東病棟1箇所に機器を集約し、フロアースイッチは、東病棟1箇所に集約する方式でネットワークの物理構成を見直すことにした。その結果、建屋集約スイッチにおいては、機器を8割削減し、フロアースイッチにおいても機器を7割削減し、ネットワークを構成した。速度に関しては、コアスイッチと建屋集約スイッチ間を8Gbpsから40Gbpsに増速し、端末を収容するエッジスイッチを100Mbpsから1Gbpsに増速した。今回のネットワーク更改に合わせて、建屋集約スイッチで行っていたルーティングも廃止し、コアスイッチにルーティングポイントを移行することで、シンプルな論理構成に修正した。本構成を実現するにあたっては、必要最低限のUTPケーブルを敷設するものとし、カテゴリー5規格のUTPケーブルを利用していた箇所においては、事前にケーブルの品質測定を行い、1Gbpsの速度が維持できない箇所のUTPケーブルのみを再敷設するなど費用の低減も図っている。
以上のように、東病棟・西病棟のネットワークの更改に伴って、ネットワークの物理構成および論理構成をシンプルに見直すとともに、ネットワークの高速化を図り、安定かつ高速なネットワークを実現した。