Japan Association for Medical Informatics

[2-L-1-PP1-3] ブロックチェーン技術を用いた医療情報保管と流通

水島 洋1, 入澤 厚2, 五十嵐 紀子2, 長瀬 嘉秀3, 山本 晃4, 長谷川 英重5 (1.国立保健医療科学院, 2.エヌアイエスプラス, 3.テクノロジックアート, 4.R102, 5.OMGアンバサダー)

ブロックチェーン技術はビットコインなどの金融システムを中心に活用が始まっているもので、特定のサーバーに情報を集中させずに情報を流通させる技術である。 医療を含む1000以上の業務をネットワーク上で共有しているエストニアにおけるE-Healthシステムにおいてもブロックチェーン技術が使われており、17年1月のダボス会議、HIMSS17、等で医療におけるブロックチェーンの活用に関する議論が国際的に進んでいる。医療で活用しうる大きな特徴として、データの分散格納、相互運用性の高さ、パスワードによる情報コントロール機能、信頼性技術の高さなどがある。
この技術を医療情報の登録や流通においても活用することを検討するため、我々はブロックチェーンに関する研究会を設立し、国際的な事例や技術開発に関する情報を集めるとともに、国内に医療用パイロットシステムを構築し、試験的な医療情報を模擬運用することで整理している。
その結果、どこまでの情報を個別のサーバーでもち、どのような情報をブロックチェーン上で分散共有するべきなのか、画像などの大きなデータについてはどのように扱うのがよいのか、どのように当事者が情報のアクセス管理を行うのか、当事者が死亡したあとにはどのようにその情報を管理すべきなのか、などの問題点が上がってきている。
国際動向、およびシステム運用上の問題について論じる。