Japan Association for Medical Informatics

[2-L-1-PP1-6] クラウド型Web会議サービスを利用した簡易型遠隔講義システムの構築

五味 悠一郎 (日本大学理工学部)

高度な医療情報教育においては専門性が高いことから講師が限定され、講義回数や場所の確保が難しいことから、学習する機会を得られない学習希望者が少なからず存在する。小規模校における教師不足など同様の課題を抱える学校教育では、対策として遠隔授業が注目されており、高等学校においては同時双方向型の遠隔授業での単位取得が認められるようになった。遠隔授業の実現には、配信元の音声を配信元のスピーカーから出力できるテレビ会議システム、配信元の音声を配信元のスピーカーから出力できないWeb会議システムなどが用いられるが、テレビ会議システムは高価な専用ハードウェアを必要とし、Web会議システムは配信元の参加者が少人数である必要がある。

そこで本研究では、Web会議システムと安価なハードウェアを組み合わせて配信元の音声を配信元のスピーカーから出力できるようにした、配信元の参加者が大人数でも対応できる簡易型遠隔講義システム(以下、本システム)を構築し、音声遅延の観点で評価した。

本システムでは当初、Web会議システムを動作させるWindows PCにマイクとスピーカーを接続する構成としていたが、マイクの音声が若干遅延してスピーカーから出力されるため、講師が話しにくい状況が発生した。そこで、マイクの音声をオーディオミキサーに入力し、音声をWindows PCとスピーカーに分岐して出力されるようにしたところ、マイクの音声はリアルタイムにスピーカーから出力され、話しにくい状況が改善された。オーディオミキサーのマイク入力とスピーカー出力を基準として遅延時間を測定したところ、Windows PCにマイクとスピーカーを接続した場合は0.1秒、クラウド型Web会議システム(V-CUBEミーティング5)は0.7秒となった。

オーディオミキサーを利用した本システムは、Windows PC、2万円程度のオーディオミキサー、若干のオーディオケーブル、クラウド型Web会議システム、だけで構築できることから、実用に耐えうる遠隔講義システムを安価で簡易に構築できたといえる。