Japan Association for Medical Informatics

[2-L-1-PP2-3] 地域医療情報連携ネットワークにおける個人情報保護の課題

大内 佳歩1, 藤川 敏行2, 小田部 昭3 (1.一般社団法人医療ネットワーク岡山協議会, 2.公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院, 3.株式会社サンネット 情報セキュリティ研究所)

【背景と目的】岡山県では、平成25年1月より、ネットワークを介して医療情報を共有する地域医療情報連携ネットワーク「晴れやかネット」を運用している。現在では、隣接しているHMネットとの接続や、従来参照のみに留まっていた診療所・薬局等からの情報送出も可能となっている。全国に地域医療情報連携ネットワークが拡大されているが、個人情報保護への対応は、それぞれの地域によって独自に検討と合意形成が任されている。個人情報保護法の改正を契機に、運用を煩雑にしない方法で医療情報の共有を促進する対策を検討した。また、この検討内容が他地域でも有用となることも目的とした。
【方法】会員に個人情報保護の必要性を認識してもらい、適切な対応が実施可能となるよう研修会を実施した。内容は、個人情報保護の基礎と改正個人情報保護のポイントとし、参加者に個人情報保護に対する意識調査と各施設における対応状況を把握するためのアンケートを実施した。
【結果】研修会のアンケートでは、「個人情報収集の目的と利用の範囲を院内掲示する重要性について」の問いに対し、「理解していない」と回答した割合が33.5%と高い結果となった。
【考察】本来、医療情報の共有は、各施設での個人情報の利用の範囲で同意が得られていることが前提となる。しかし、会員施設の中には、十分な対策がなされていないケースも散見されたため、今回の改正に併せて院内掲示の必要性を各施設に通達し対策を講じた。今後は、同対策の周知徹底を実施するとともに、第三者提供の記録義務(法25条)の取り扱いについて、法第23条第4項第3号に該当する共同利用と捉えるべきかを検討する。
【結語】個人情報保護対策における同意書の運用等、各地で独自に行った検討と合意形成のプロセスを相互に適宜情報提供していくことにより、地域医療情報連携ネットワーク全体でセキュリティ意識向上を図っていきたい。