Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-OP19-3] 医療機器ログデータを用いたプッシュ通知システムの構築

岸本 和昌, 押川 千穂, 粂川 雅子, 中井 隆史, 竹村 匡正 (兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

【背景】病院情報システムの普及や機器のデジタル化に伴い、あらゆる場所で必要な情報を活用するニーズが高まっている。このため医療従事者が持つスマートデバイスを活用した医療情報の共有および業務効率化、質の向上が期待されている。加えて、医療機器のネットワーク化でモニタリングデバイスを中心に病院情報システムとの接続が盛んに試みられており、電子カルテへの自動記録やナースコールに活用されている。しかし医療機器は医療者が目にするデータだけでなく多数のログデータを持っているが、診療録に必要なデータしか用いてない。これらを踏まえると、ログデータをIoT(Internet of Things)で収集し分析することで、異常予知システムなど様々な利用が考えられる。
本研究では、医療機器からリアルタイムに取得したログデータを収集し、医療従事者が携帯するスマートデバイスに対して異常のプッシュ通知と稼働状況を閲覧するシステムの構築を試みた。
【方法】A病院の一般病棟で利用されている代表的な医療機器を調査し、ログデータを取得した。取得にはシングルボードコンピュータを用いたゲートウェイを作成し、ログデータベースサーバに蓄積した。次にプッシュ通知システムに送信し、各ユーザのスマートデバイスに通知を行った。
【結果】調査結果から人工呼吸器からログデータを取得することにした。人工呼吸器から換気情報やアラームなどの稼働状況を取得することができた。これらのデータをログデータベースサーバに収集し、スマートデバイスに対して通知することが可能になった。
【考察】スマートデバイスにプッシュ通知することでリアルタイムに機器状況を表示できた。一方で、一人の患者に複数の医療機器が使用されることも珍しくなく、これらが様々な通知を医療従事者に対して行った場合、膨大な量の通知が医療従事者に対して届くことが予測されるため、効果的な通知方法を検討する必要がある。