一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-2-OP19-4] 看護師が求める電子カルテのユーザーモデルのあり方の検討

梶村 郁子, 橋弥 あかね, 竹村 匡正 (兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科)

ユーザーとコンピュータのインタラクションにはデザインモデルと、ユーザーモデル、システムイメージの3 つの概念モデルが提唱されている。システムの設計者がシステムに対して持っているモデルがデザインモデルであり、ユーザーがシステムに対して抱くメンタルモデルがユーザーモデルである。これらの概念モデルの乖離は、ユーザビリティの低下を招く要因の一つであると考えられる。現在、各医療施設において電子カルテシステム(以下、電子カルテとする)導入が着実に進められている。その一方で、電子カルテ導入初期からシステムユーザー側からは「使い勝手が悪い」との意見が多いにもかかわらず、この問題に関してどのように使い勝手が悪いのかなど具体的な課題と解決法は明らかにされていない。
そこで本研究は、電子カルテの第一ユーザーである看護師が電子カルテに対して抱くユーザーモデルを検討するために、研究協力の得られた電子カルテ導入済み病院の全看護師を対象にアンケート調査を実施した。
アンケートはパソコン利用歴の短い看護師から、電子カルテの導入経験者まで様々な背景を持つユーザーからの回答を得ることができた。日常業務で利用する機能など、同じ病棟勤務の看護師であっても回答にばらつきがあり、電子カルテに搭載されている機能を把握しないまま、業務に電子カルテを利用している可能性も示唆された。また、電子カルテに対するイメージについては、情報共有のしやすさ、情報収集のしやすさが看護師歴問わず多くみられる。その一方、電子カルテのユーザーモデルの一環として調査した電子カルテに期待することでは、ハード面の充実、ソフト面の充実、運用方法の見直しが必要な内容など多岐にわたっており、ユーザビリティの課題はデザイン面だけではないことが明らかになった。