Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-OP19-5] 看護基礎情報の現状調査からみえた問題点
~データベースの再構築に向けて~

福島 佳織, 江口 美華, 金子 春恵, 成瀬 亜由美, 川﨑 純子, 三井 佐代子 (国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)

【目的】入院時に聴取した看護基礎情報のデータより、患者の生活習慣や背景等を分析することで、患者のQOLの改善に繋がる必要な情報やより良いシステムを検討し、来るべき電子カルテの更新に向けてデータベースの再構築に繋げる。
【方法】電子カルテに保存している平成22年2月1日から平成25年1月31日までに入院された延べ患者32,270件の成人用及び小児用看護基礎情報記載内容を分析し、現在の電子カルテにおける看護基礎情報の問題点を明確にする。同時に診療に関わる全職種に看護基礎情報活用状況のアンケート調査を実施する。
【倫理的配慮】本研究は当院倫理委員会の承認を得て、オプトアウト方式で同意を得て実施した。
【結果及び考察】項目により記載率に差がみられ、循環器疾患にとって必要な項目が示唆された。再入院時には、コピーペーストを繰り返して前回の情報を転記し再問診が形骸化している傾向にあったが、入院時にすべての情報が必要ではないこと、入力に時間がかかること、個別性を重視し自由記載が多すぎることが原因と考えられた。アクセス権や展開までの不便さから、他職種にはほとんど活用されず、それぞれが独自の情報収集ツールを設け、患者に負担をかけている現状も垣間見ることができた。電子カルテ導入時は、個人情報の保護が優先され、踏み込んだ情報が設定されていなかったが、昨今の政策医療の変化により転院や退院調整の必要性が増し、より詳細な生活状況や家族背景が求められており、チーム医療としてお互いが同じ情報を共有できることが必須となっている。また、自由記載が多く言語がバラバラで、有益なデータ抽出に至らない項目もあったが、今後の選択肢を作成する指標になった。
【まとめ】医師・看護師・他職種間で診療及び看護ケアに共有する情報を抽出し、言語を統一して入力の簡素化をはかるとともに、時系列で変化がみえるシステムとなるよう看護基礎情報を再構築する方向である。