Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-OP19-6] ケアの実施データの二次利用による持続可能なケア計画の見直しツールの開発とその評価

宇都 由美子1, 花原 康代3,2, 岩穴口 孝2,3, 村永 文学2, 落合 美智子3, 市村 カツ子3, 熊本 一朗1 (1.鹿児島大学大学院医歯学総合研究科医療システム情報学, 2.鹿児島大学病院医療情報部, 3.鹿児島大学病院看護部)

【背景及び目的】病院機能の分化・連携、さらなる在院日数の短縮が進む中、入院目的の達成、アウトカムに焦点を当てた看護実践の提供がますます重要になってきた。各医療機関においては、入院期間短縮へ対応した標準看護計画の見直しが適宜行われる必要があるが、膨大な労力と時間を要するために、対応できていない施設が少なくない。そこで、入院期間短縮や効率的な看護サービス提供のために、適宜適切に作成支援ができる持続可能な看護計画の見直しツールの開発を行った。【方法】1)平成28年4月から12月の間に当院を退院した患者の年齢、性別、DPC、入院期間、病名、手術、処置、ケア実施データを抽出する。2)DPCを決定した病名、術式ごとに患者データをまとめ、それらの入院時から退院までのケア項目と実施回数を病日ごとに編集し、それらからDPCⅡと入院日数が同じ患者データのみ抽出する。3)病名と術式等の組み合わせについては、①主傷病(ICD10)で分類、②手術の有無で分類、③手術無については、処置1・2、処置なしで分類、④手術有の場合は、Kコードで分類する。4)さらに、ケア項目に対するアセスメントの視点を体系化して、標準看護計画のケア項目にアセスメントの視点を組込む。
【結果及び考察】対象患者は9,993名であり、方法2)~3)の分類方法で抽出したところ、2,638種類の組み合わせになった。抽出に要した時間は、実施入力件数に比例し、入院期間の長短や同一疾患・術式等の組み合わせで抽出される症例件数には影響を受けなかった。概ね、200例を抽出するのに約2時間を要した。これらの抽出ツールの開発により、新たに短縮された入院日数や新規の治療法の導入などにも、実績データでひな形を直ちに作成できるために、検討時間を大幅に短縮できる。このような循環型のデータの2次利用は、看護情報の精度管理にも有用である。