Japan Association for Medical Informatics

[3-D-3-OP23-1] 結果確認漏れ防止アラート機能導入の試み

西川 彰則1,2, 入江 真行1 (1.和歌山県立医科大学附属病院 医療情報部, 2.和歌山県立医科大学附属病院 血液内科)

【背景と目的】
電子カルテの普及により、ユーザーが診療情報に容易にアクセスできる半面、情報量過多による必要な情報を適切なタイミングで得ることが難しくなっている。昨今、検査結果確認漏れによる医療訴訟が問題となっており、各医療機関の医療安全部門では見落とし事例を防ぐべく腐心している。当院は電子カルテシステム更新に合わせ、新たに結果確認漏れ防止目的のアラート機能を開発した。
【方法】
アラート対象は、検体検査、生理機能、放射線画像読影結果、細菌培養結果、病理結果とした。本機能は、①該当患者にアクセス時に新着結果があれば該当患者の結果リストをポップアップで表示する機能、②ログインユーザー発行オーダーの新着結果確認一覧機能を実装した。それぞれリストから結果参照時には未確認から確認済みへユーザーにより変更可能であり、確認済み項目は一定期間で①のポップアップ画面から消える。アラート対象は、運用に合わせて設定可能。検査結果確認漏れ防止目的として、③未確認検査結果が残存しかつオーダー元診療科の未来日での外来予約または入院予定がないものをリストアップする機能を実装し、医療安全部にて確認漏れを防ぐ運用をした。
【結果】
アラート機能により新着結果を簡便に確認することが可能になったが、新着結果参照時のデフォルトを未確認としたため、ユーザーが参照時に明示的に確認済を選択しなければ、多量に未確認が残存する結果となった。
【考察】
本機能はこれまで不明であった検査結果新着タイミングをユーザーに通知する診療補助機能の側面と、診療上未確認が重大な問題となる結果をピックアップする両面の機能を実現することを目的にしている。多量の未確認を減らす目的にユーザー心理を考慮した確認済みに変更を促す情報の見せ方を工夫すること、またはデフォルトを確認済みにすること、アラート対象項目の絞りこみの工夫が必要と考えられる。