Japan Association for Medical Informatics

[3-D-3-OP23-3] 電子カルテにおける輸血後感染症検査を促す機能追加における効果の検証

石原 優子1, 丸山 千恵子2, 山本 喜則2, 木村 沙紀2, 八重島 梓2, 小松 恒彦3 (1.帝京大学ちば総合医療センター医療情報システム部, 2.帝京大学ちば総合医療センター検査部輸血検査室, 3.帝京大学ちば総合医療センター血液リウマチ内科)

[背景] 輸血前のみならず、輸血後にも感染症検査(梅毒、B・C型肝炎ウィルス、HIVウィルス)を行うことが推奨されているが、特に輸血後の感染症検査実施率は十分とは言い難い。[方法] 当院の電子カルテ(EGMAIN-GX, Fujitsu Ltd.)の機能として、輸血後90日以降に「輸血後感染症検査が必要です」との警告を、2015年12月〜2016年12月はカスタム機能として患者掲示板に、2016年12月〜2017年4月は標準機能として画面右下に表示させることとした。いずれもリンクをクリックすると検査オーダー画面が表示される設定とした。各期間で、新規で輸血を受けた症例数を分母とし、実際に輸血後感染症検査が行われた症例数を分子とし実施率を算出した。対象症例は電子カルテの「輸血患者一覧」画面から抽出した。比較として機能導入前の2014年9月〜11月を対照とし、部門システムの輸血患者一覧から逐次カルテを確認し実施率を計数した。[結果] 導入前、カスタム機能、標準機能における対象患者数、実施件数、実施率はそれぞれ、78/1/1.3%、224/83/37.1%、211/24/11.4%であった。[考察] 電子カルテに警告を表示させることで、一定の実施率の改善が認められたが、期待された数値からは程遠かった。同様の報告がないため原因解明や対策の検討は難しい。標準化されて却って実施率が下がった原因としては、1)掲示板に表示された場合は何らかのアクションを起こさねば業務が開始できないため結果的に検査オーダーを立てる医師が多かった、2)画面右下に表示されるのみで業務遂行に支障ないため無視される、などが推測された。対策としては、既に採血済みの症例では残血清を用いて容易にオーダーが出せるような機能及び運用の改善が有用と推測される。