Japan Association for Medical Informatics

[3-D-3-OP23-4] Medication Event Monitoring Systemを用いた睡眠薬の処方遵守の評価に関する研究

河野 愛弓1, 大野 ゆう子1, 木戸 倫子1, 丁 憙勇1, 足立 浩祥2 (1.大阪大学大学院医学系研究科, 2.大阪大学キャンパスライフ健康支援センター)

背景:医療機関において服薬行動の確認が必要な人は、看護師による目視での服薬確認・カラの回収など、Process-orientedな方法での支援が一般的である。それでも服薬時刻や服薬量、種類の問題は生じ、患者による自己中断も起こっている。在宅ではさらに服薬行動の確認は難しく、病院と比較して飲み忘れ、飲み間違い、自己中断も多いと予想される。本研究では、服薬時刻を自動記録するシステム(Medication Event Monitoring System: MEMS)を用いて睡眠薬の処方遵守について検討したので報告する。
方法:睡眠薬は、一般的に不眠症に対する対症療法として用いられる。患者が独断で効果を判断し、服薬時間や量を調整するなど不適切な使用をした場合、重大な事故に繋がる可能性がある。本研究では、A大学保健センター精神科を受診し研究の同意を得た成人患者4名について、通常の診療で配布される睡眠日誌(睡眠状況に関する記録)とともに睡眠に関するアンケート用紙、処方される薬のPTPシートが入るMEMSを配布し、2週間後の外来受診時に回収した。MEMSの記録と睡眠日誌、アンケート結果を照合し、MEMSによる睡眠記録の有効性と処方遵守の評価を行った。
結果と考察:調査時期は、2016年12月から2017年1月で、症例ごとに検討を行った。その結果、睡眠日誌に記録された服薬時刻とMEMSの記録時刻は、多くの場合一致していなかった。症例ごとに見ると、記録期間を通じて比較的近い時間であった者と、睡眠日誌には同じ時刻が書かれていて違いに大小があったものとが見られた。今回はMEMSが大きかったため出張に持って行かず、その感は睡眠日誌だけ記録されていた例もあった。MEMSは服薬状況の把握において有効であり、医療者の薬物治療選択に有意義な情報を提供できることが示唆された。