[3-E-1-PS8-4] 臨床工学を支援するRFIDシステム
【緒論】院内の汎用性が高い医療機器は、臨床工学技士(以下 CE)により中央管理が行われている。従来、その管理にはバーコードが用いられていたが、得られる所在情報は正確性に欠ける状況にあった。【目的】病院では、機器は増加傾向にある一方、診療報酬改定により収入は減少傾向にある。このような状況においてCEは、より厳密な機器の管理が要求される。しかし、機器の高度化に伴い、臨床現場にてCEによる操作が求められる状況下、限られた人員でそれを遂行せねばならない。そこで、RFIDを活用した管理システムを導入し、同時に、体制の整備を図ることにより、正確な情報が「見える化」された環境下で効率的な管理体制を目指すとともに、導入効果の検証を行うこととした。【システムの導入】機器の移動拠点にアンテナを設置。RFタグを機器に貼付した。これにより、機器の拠点移動にて自動収集される情報が、院内全端末から「見える」状態とした。【体制整備】機器は病棟毎に定数を設け、アンテナを設置した保管棚に配備することとした。これにより、誰でも機器輸送が可能となることから、定期輸送をSPDに委託した。また、不足時は近接保管棚間で、自由に貸し借りができる体制を定着化させた。【結果】「見える化」により確立された定期輸送体制により、病棟スタッフによる中央管理室への機器の輸送は、従来比、1/6以下に減少した。これにより、CEが保守点検を行う時間帯が明確になることから、人員配置の効率化が図れた。また、定数の分析・調整が可能となり、主要機器60台の余裕在庫を確保することができた。【考察】余裕在庫を余剰在庫と解釈すると、次期更新時に台数の削減が見込めるほか、自由な貸し借りが促され、さらなる機器確保に要する時間短縮や稼働率向上により、安全性も向上することが示唆される。【結語】CEを支援するRFIDシステムは、機器を使用する側の支援に加え、病院経営を支援するシステムになり得る。