Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-OP25-1] ペン型可搬デバイスによる診療記録作成と保存、管理について

森藤 祐史1, 濱田 英俊2, 小松原 弘文2, 福井 博一3, 森 隆比古1 (1.大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター, 2.富士ゼロックス株式会社, 3.富士ゼロックス大阪株式会社)

【背景】病院の医師等が救急車に同乗して救急救命士等の実地指導を行う救急ワークステーションでは、医師や看護師が応召先で記録を作成する。また、災害医療や在宅医療においても同様に、病院情報システム(以後、HIS)端末のない現場での正確な記録作成のニーズがある。一方、現場で紙上に一旦記載した記録の事後の転記やデータベース化、スキャン作業は大きな負担となるとともに、誤登録も懸念される。
【目的】可搬性と二次利用データ作成機能を備え、HIS端末の有無に捉われない診療記録の現場での作成環境を構築する。
【方法】入力装置には、デジタルコードから紙面の座標点を認識し、記載情報を記憶する市販のペン型可搬デバイス(Denshi-Pen®︎)を採用した。デジタルコード付の入力用紙は管理端末から印刷すると同時に、共有サーバにその識別情報を保存する。現場ではペン型可搬デバイスで入力用紙に記載し、後からそのデバイスをHIS端末に接続してデータ転送を行うと記録が完成する。転送後のデータは登録まで共有フォルダで保管するため、追記時の再転送は端末を選ばない。完成した記録は文書管理システムで電子保存し、HIS端末で参照する。
【結果】電源やHISネットワークのない環境でも紙を正の記録媒体とすることなく電子記録を作成する仕組みが構築できた。テキスト化された手書き情報はCSV出力により二次利用できた。
【考察】ペン型可搬デバイスを利用したことで、慣れた手書き動作での、電子的保存の3原則を満たした記録作成が容易となった。操作性についても考慮し、転送・登録時の画面遷移やクリック数を減らすことで利用者の負担を軽減できた。モバイル端末を利用するシステムと比べ、単価の安いペン型可搬デバイスを利用することで非常に低コストでの導入が可能となった。
【結語】ペン型可搬デバイスを入力に利用することで、モバイル端末とは異なるアプローチで、事後のスキャナ読み取り作業の必要性を抑制する現場入力システムを構築した。