Japan Association for Medical Informatics

[3-H-3-OP20-1] ICD-11改訂前フィールドトライアルにむけたWHO主導プレテストの実施

佐藤 洋子1, 水島 洋2, 冨田 奈穂子3, 緒方 裕光4 (1.防衛医科大学校防衛医学研究センター医療工学研究部門, 2.国立保健医療科学院研究情報支援研究センター, 3.国立保健医療科学院国際協力研究部, 4.女子栄養大学疫学・生物統計学研究室)

ICD-10(国際統計分類第10版)からICD-11(同11版)への改訂においては、改訂前にフィールドトライアル(FT)を実施し、ICD-11の適用性、信頼性、有用性などを検討する必要がある。ICD-11はICD-11コーディングツールとICD-11ブラウザと呼ばれるウェブシステムでの運用が想定されているため、その評価も重要となる。WHOは国際的に共通のFTを実施するためのガイドラインを作成し、それに沿ったFTの実施準備を進めており、我が国においても実施が望まれている。平成28年度において提供された本番に近い形のウェブシステム(ICD-Fit)やケースを用いてWHO主導のFTプレテストを実施した。
 日本診療情報管理学会所属会員を中心に、診療情報管理士指導者、教育関係者、病院関係者など計7名に評価を依頼し、ICD-Fitに登録されたケース308症例を各評価者に割り当てた。評価者は各ケースをICD-10とICD-11でコーディングしたのち、難しさやコードの特異性などを評価し、2156(7名×308症例)の総回答を得た。また全ケースコーディング後に、ICD-11の網羅性やICD-11ウェブシステムなどについても評価を得た。
 コーディング時に難しさを感じた割合はICD-10で13.9%、ICD-11で11.3%だった。コードの特異性がちょうどよいと答えた割合はICD-10で83.3%、ICD-11で87.7%だった。全体評価として、ICD-11の網羅性が良いと答えたのは5名、詳細さがちょうどよいと答えたのは6名だった。ICD-11ウェブシステムについては、3名が悪いと回答した。
 本プレテストの結果、ICD-11はICD-10に比べてコーディングの難しさや特異性で大きな差はみられず、またICD-11の網羅性も高い評価だった。一方でウェブシステムについては実利用での課題が示唆された。