Japan Association for Medical Informatics

[3-I-1-OP17-4] 3D人体モデルデータのアーカイブ化と医療教育への活用

山崎 航1, 永瀬 宏2, 堀 有行3, 黒田 尚宏3 (1.金沢工業大学 工学研究科 システム設計工学専攻 博士前期課程, 2.金沢工業大学 情報フロンティア学部, 3.金沢医科大学 医学教育学)

1.はじめに
 近年、画像処理技術の進歩に伴い、平面画像から3Dデータを生成することが可能となった。これらの技術を用いて、医療現場ではCT画像から臓器や骨格などの3Dデータを生成し、3Dプリンタによって模型を作成することで体構造の把握を容易にする試みが行われている。本研究では、こうした医療業務の過程で作成された3Dデータを集積・アーカイブ化し、仮想空間内で任意のデータを閲覧できるシステムを構築することで、医療教材としての活用を目的とした研究を行った。

2.使用した主な技術
 仮想空間の作成には、Epic Games社が提供するゲームエンジンであるUnreal Engine 4を使用した。また仮想空間を閲覧するためのHMDはHTC-Vive社が提供するHTC-Viveを使用した。3D人体モデルデータはOsiriXを用いてCT画像から作成し、Blenderなどのモデリングツールを介してUnreal Engine4で使用できるFBX形式に変換してから使用した。

3.構築したシステム
 作成した3D人体データを配信サーバに集積し、データベースへ症状やファイルパスといった情報を登録しておく。利用者は仮想空間内のUIから、閲覧したい3D人体データを配信サーバへリクエストし、配信サーバはデータベースを介して該当するデータを仮想空間内に配信する。

4.考察
 仮想空間内にモデルデータを展開することにより、既存のビューワやモデリングツールを用いてモニタ越しで見た時よりも、臓器の奥行や位置関係が把握しやすくなる。今回はルームスケールを想定した仮想空間を用意したが、狭い空間での使用を考慮すると小さなスケールのものを用意すべきである。またVRの特性上、HMDを着用している間は周囲の状況を把握できないため、システムを利用しながら現実で他の作業を行う必要がある場では、Augmented Realityを用いた方が良いと思われる。