一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-1-OP18-1] 外科病棟で働く看護師の連続的気分状態とその変化

藤本 悠1, 瀬戸 奈津子1, 清水 安子2 (1.関西医科大学, 2.大阪大学)

【目的】看護師の連続的な気分状態と変化について実態を明らかにする。【方法】2016年2月1日~26日の期間にA病院B病棟に所属するし日勤夜勤を行う看護師を対象とした。研究協力が得られた対象者に携帯型端末を渡し、アプリケーション上で6段階のフェイススケールを用い、主観的気分状態を朝夕のミーティング時に6が非常に良い、1が非常に悪いとして、主観的な自分の今の気分を評価するよう依頼した。入力された得点を日勤と夜勤、勤務両方の3つの勤務帯に分け、勤務開始時と勤務終了時、勤務開始時と勤務終了時の2時点、変化量、変化量:絶対値の5項目において集計した。集計した得点と対象者の基本属性について記述統計とspearmanの順位相関係数を用いて分析を行い、有意水準はp値0.05未満とした。【結果】対象者の気分状態の平均点は、すべての勤務帯で中央を下回っており、勤務開始時から勤務終了時に向かって得点は低下するという負の変化を示していた。また、日勤よりも夜勤の方が全体的に得点は低く、夜勤は1か月間の最大値を見ても中央を下回る得点であった。看護師毎の得点と個人属性の関連においては、夜勤と勤務両方で、勤務終了時および勤務開始時と勤務終了時の2時点について病棟経験年数と有意な負の相関があり、病棟経験年数が増えるほど夜勤と勤務両方における気分が低下していた。【考察】連続的な気分状態を見ることで、対象者の気分の不調について明らかにすることができ、看護師が主観的に感じる業務負荷について明らかにすることができる。また、病棟経験年数が増えるにつれ、より勤務終わりの気分が低下しており、業務量が過度な負担とならないようにするために連続的な気分状態が指標となるのではないかと考えられた。掴み所の難しい「気分」を得点化することで、看護師自身も自分の状態を知り、行動にフィードバックすることができる。