Japan Association for Medical Informatics

[3-L-1-PP5-2] データウェアハウスに蓄積した歯科情報による無歯顎者に対する個人識別の評価

丸山 陽市1, 牛嶋 拓也2, 藤原 卓1, 本多 正幸2 (1.長崎大学病院医療情報部歯科分室, 2.長崎大学病院医療情報部)

【目的】長崎大学病院では、データウェアハウス(DWH)での医科・歯科の電子カルテ情報と歯科部門システムで発生する口腔内情報の統合を行っている。この口腔内情報は1歯単位での歯科情報を有している。近年、大規模災害時の身元不明者に対する個人識別には口腔内情報が有効であると言われ、第36回本大会において、口腔内情報による個人識別では処置履歴と初診時情報が重要であると報告した。しかし、無歯顎者に対する個人識別は困難であり、カルテ情報による個人識別状況は明らかでない。そこで本研究では、DWHによる無歯顎者と総義歯装着者、総義歯修理履歴を抽出し、個人識別に関する評価を行ったので報告する。
【対象および方法】個人識別対象は2015年1月から2017年5月までに初診登録した19020名のDWHに蓄積した口腔内情報とした。口腔内情報は初診時に入力した1歯単位での健全、欠損、保存修復、補綴物等の歯式情報と歯科処置履歴である。総義歯に関する検索条件として、性別、上顎下顎、レジン床総義歯装着、床裏装レジン床、レジン床総義歯修理、レジン床総義歯増歯修理とし、これらの条件に対して適合率を求めた。
【結果および考察】DWHによる無歯顎者の検索結果は459名で、本院でのレジン床総義歯装着者437名の適合率は男女とも0.005程度であった。上下顎にレジン床総義歯を装着し、床裏装の場合は男女とも適合率は0.5であった。上下顎とも床裏装とレジン床総義歯修理履歴がある場合では男女とも適合率1.0であった。無歯顎者の個人識別は、総義歯装着者数が少ないため、義歯修理履歴情報が複数存在している条件ではある程度の絞込みが可能であると思われるが、修理部位等のカルテ記載内容を確認する必要がある。
【結論】無歯顎者に対する個人識別では無歯顎者数と総義歯装着者数が少ないため、総義歯装着の有無、義歯修理履歴が重要な検索条件である。