Japan Association for Medical Informatics

[3-L-1-PP5-3] 大学病院における患者情報2次活用における実情と今後の展開
-長崎大学病院DWHを対象とした取組-

本多 正幸1, 松本 武浩1, 牛嶋 拓也2, 岩元 泉2, 本田 千春2 (1.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科, 2.長崎大学病院)

長崎大学病院では平成27年1月にシステム更新を行い、患者情報の2次活用システム(DWHシステム)を新規に構築し、特に構造化データ(病名、検査、処方等)の分析を可能としたシステムを構築した。構築に当たり電子カルテからのデータ抽出と取り込みに際し、負荷軽減と精度向上を目指し中間データベースと抽出ツールを用いた。また、その他の病理診断レポートや退院時サマリーシステムなどのサブシステムからの取り込みは個別のインターフェースプログラムで対応した。平成29年5月時点で実質稼働2年となっているが、患者情報の2次活用の実績としては、直近では月平均50~60件程度の実績があり、その中で病院管理統計的な帳票の依頼に対しては医事会計システム等から、また検査データを含めた患者情報の抽出・統計業務依頼はDWHから行っている。
DWHを対象とした支援内容としては、例えば、特定の薬剤を投与した患者の検査結果情報や手術(処置)情報、あるいは文書情報の特定項目に関する統計情報など、薬剤情報、検査情報、病名情報を中心に文書情報や看護必要度情報などの検索要望がある。DWHシステム導入により、便利になった部分もある反面、機能的面でも多くの要望が存在している状況である。特に、電子カルテベンダーのシステムやサブシステムのデータの粒度や範囲などに依存する、データの質の問題は今後大きな課題である。
本報告では、医療情報部の仕事の中で大きな比重と意義を占めている、患者情報の2次活用に関する業務(研究支援、業務支援)の実情を報告し、特にDWHシステムにおける機能について実績とともにその機能分析と評価を行う。また、今後の医療情報分野の大きな課題の一つとして、非構造化データ(自然言語データ)からの知見や各種アウトカムの抽出があるが、退院時サマリーの文書データに対する取り組み事例についても取り上げる。