Japan Association for Medical Informatics

[3-L-1-PP6-4] 特定健診に対応した立方格子モデルを用いた生活習慣タイプによる健康状態遷移傾向の検討

宮内 義明1, 西村 治彦2 (1.名古屋市立大学看護学部, 2.兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

目的:著者らは先行研究において,健診受診者らの健康状態の遷移の傾向を明らかにすることを目指し,健診データの2値表現と立方格子の頂点間の移動で健康16状態の遷移を表現するモデルを検討し,構築した立方格子モデルを用いて世代ごとの健康状態遷移の特徴について明らかにしてきた.本研究では,健診受診者らの生活習慣を問診結果によりタイプ分けし,彼らの健康状態遷移の特徴について著者らの立方格子モデルを用いて検討を行う.
方法:5,423名の健診データについて,立方格子モデルに展開する準備として特定健診の階層化手順に則した2値化を行い,次に質問票回答データを用いて運動面の生活習慣が良いタイプと悪いタイプ,食事栄養面が良いタイプと悪いタイプ,運動・食事以外の生活習慣が良いタイプと悪いタイプという群分けを行った.その上でタイプごとに健康状態遷移確率(各256通り)を算出し,閾値0.1として立方格子モデルに展開し,比較検討を行った.
結果と考察:立方格子モデルを用いたことで,各タイプでの健康状態遷移の傾向,特にメタボに陥るルートや,逆にメタボから脱却するルートが明確に示された.具体的には,運動面や食事栄養面が悪いタイプ,それら以外の生活習慣が悪いタイプのどれもが,脂質因子と血圧因子が基準値外の場合にメタボへ落ちるルートが見られた.また,運動面が良いタイプでは閾値10%でメタボに落ちるルートが無かった.一方,運動面と食事栄養面が良いタイプでは,体型因子のみか,または体型因子と併せて脂質因子か血圧因子のどちらか1つが基準値外の場合の3つの状態からメタボを脱却できるルートが見られた.そして,全てのタイプで,体型因子以外の3つ(血糖・脂質・血圧)の因子全てが基準値内であれば,メタボから脱却できるルートがあることが示された.このように立方格子モデルは明示的で理解しやすく,保健指導ツールとして活用できると考える.