Japan Association for Medical Informatics

[3-L-3-PP10-3] 地域BWAを利用した構内音声網構築に向けた音声品質評価

蒲生 祥子1, 岡田 久仁子2, 木村 映善1, 石原 謙1 (1.愛媛大学大学院医学系研究科医療情報学講座, 2.愛媛大学医学部附属病院医事課医療情報チーム)

背景
 構内PHSに代わる次世代通信の制度設計、代替製品の普及は進んでいない。そこで、施設近隣に地域BWAの基地局を設置し、Band41対応スマホにSIPクライアントを導入することで構内PHSに代わる音声通信網を構築することを着想した。地域BWAにおけるVoIP 運用報告は2017年2月時点で確認されていない現状を踏まえ、音声の品質評価を先行実施した。

方法
 SIPフォンソフトウェアにはLinphone、コーデックはOpusを採用した。地域BWA上でL2接続環境をシミュレーションする環境を仮想環境上に構築し、医療従事者にスマホで対話してもらい、リッカートスケールの質問等(Q1:現行PHSの音質、Q2:接続性、Q3:接続の悪い場所、Q4:スマホの音質、Q5:PHSとの音質比較、Q6:自由記載)よりなるアンケート調査を行った。

結果
 看護師23名、事務(医療クラーク、医事課、医療情報係)31名、計54名となった。Q1はやや不満(57.7%)が主流であった。不満は、事務8人(26%)、看護師1人(4%)であった。Q2は現行PHSの接続性に不満を持つ事務17名(55%)、看護師8名(35%)と、満足を上回った。Q4でスマホの音質が良いとしたものは、事務23人(74%)、看護師21人(91%)であった。Q5では良いが事務24人(77%)、看護師18人(78%)であった。地域BWAスマホの音質はPHSより良いとしつつも、自身の声のエコーの問題が指摘された。

考察
 地域BWA網使用のメリットの1つに広範囲の敷地をカバーでき、フェムトセル併用によって死角をなくせるという柔軟性があり、PHSでは困難な敷地や近隣へのカバレッジも広げられる。VoIPの音声品質については医療従事者の賛同を得られた一方、VoIP特有の課題(エコー等)について、VoIPに通じた事業者との詳細な現地調査を試みたい。