Japan Association for Medical Informatics

[3-L-3-PP10-5] 人工股関節全置換術を受けた患者への日常生活情報提供モバイルアプリケーションの構築

橋弥 あかね1, 小野 祐輝1, 梶村 郁子2, 石橋 信江3, 西村 治彦2 (1.大阪教育大学, 2.兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科, 3.甲南女子大学看護リハビリテーション学部)

背景・目的:われわれは,先行研究にてWeb上で閲覧可能な人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty,以下THA)を対象とした遠隔看護システムを開発してきた.しかし,利用にはインターネット通信が必須となり,施設によっては入院中は閲覧が難しい場合がある.そのため本研究では,入院中から情報提供が可能となるよう,一部の機能をインターネット接続なしで利用できるTHAを対象とした日常生活情報提供モバイルアプリケーションを構築することを目的とする.方法:先行研究で開発したTHA患者向け日常生活情報システムの看護師と患者による評価結果をもとに,システムを構築した. iPad及びiPad mini(iOS10.3)に対応させるため,開発にはXcode(Ver,8.3.2),開発言語はSwiftを用いた.
結果:THA患者は高齢者が多いため,フォントサイズは大きめにし,ボタンを大きく立体的にするなど,インターフェースを工夫した.コンテンツは人工股関節全置換術情報提供,入院についての情報提供,日常生活情報提供,リハビリ施設情報提供,家族への情報提供,コミュニケーションツールである.日常生活情報については,提示する情報が選択できる機能を設け,患者の状態や生活に合わせた情報が提供できるように構築した.
考察:タブレット端末やスマートフォンに不慣れな者の場合,画面をタップすることが難しい.構築したアプリケーションは,タップできる場所を大きく立体表示で示したことにより、ボタンとして認識しやすくなり,操作性向上が期待できる.また,提示する情報が選択できるため,左右別の情報提供及び患者の状態や生活に応じた情報のみを提供でき,情報混乱を防ぐことができると考える.今後の方向性として,専門家による示唆を得たのち,THA患者を対象とした試行的運用による評価を実施する予定である.