[3-L-3-PP9-6] 外傷全身CTにおける総検査時間に対する評価法の初期的検討
外傷初期診療における外傷全身CT撮影(trauma pan scan以下,TPS)普及の背景には,CT装置の性能向上に伴う撮影時間の短縮が大きな要因に挙げられる.しかし,初療室を出発して検査終了後に帰室するまでの運用面においては,更なる時間短縮の余地がある.本研究では,時間短縮に向けた分析手法の検討を目的とする.当院におけるTPSでは,頭部(頭頂から上顎下縁)と体幹部(前頭洞から骨盤下縁)に,別けた撮影を行っている.初療室におけるCT検査室への移動指示から再び初療室に戻るまでに要する時間(以下,総CT検査時間)の構成要素は,1.医師が移動を指示し,初療ベッドが検査台へ到着するまでの時間(往路移動時間).2.頭部撮影に必要な患者の移動とルート整理に要する時間(頭部撮影準備時間).3.撮影条件設定を行い画像が表示されるまでに要する時間(頭部実撮影時間).4.体幹部撮影準備時間.5.体幹部実撮影時間.6.初療ベッドへの移動に要する時間(復路移動準備時間).7.初療室への移動に要する時間(復路移動時間)の7工程となる. 上記構成要素のうち,往復移動時間は初療室と検査室との距離に,また撮影条件設定を含む実撮影時間は装置性能に依存することから短縮は困難である.故に撮影及び移動準備時間に短縮の余地があると考える.この判断は診療放射線技師が行っており,臨床経験が影響すると考える.TPSは緊急性の高いCT業務であり,総CT検査時間短縮を検討するに当たっては臨床経験年数だけでなく,該当業務への経験についても評価する必要がある.本研究では,1.臨床経験年数5年以上群とそれ以下の群.2.CT業務専従者群と非従事者群.3.救急業務専従者と非従事者群を評価項目とする.結論として,撮影及び移動準備時間を対象に,経験の異なる技師2群間の平均所要時間を比較する評価方法は,時間短縮策を検討する手法として妥当である.