Japan Association for Medical Informatics

[3-L-4-PP12-4] 地域医療構想策定に於ける人口重心の活用の可能性について

中村 敦 (山口県立総合医療センター)

【目的】
現在、策定が進められている地域医療構想では概ね二次医療圏を地域的単位として医療機能の現状と将来の医療需要や機能別病床の必要量が想定されているが、複数の市町村で構成された二次医療圏では人口の集中地域や医療機関の分布が一様で無いことが多い。
このことから、二次医療圏としての地域的単位の妥当性について、人口分布から算出する人口重心の考え方を利用して検討を行ったので報告する。
【方法】
病床機能報告の結果を人口重心の算出式に当てはめて、病床機能別の入院病床数を基本に、医療機関(病院・有床診療所)の分布から算出される機能別病床重心並びにそれぞれの入院患者数から算出される入院患者重心と人口重心の位置分析を行った。
分析対象は2016年度病床機能報告結果を基本に山口県全体並びにそれぞれの二次医療圏単位とした。
【結果と考察】
県全体でも二次医療圏でも、病床重心と入院患者重心はほぼ同位置に在り、人口重心のみが異なった位置にある。このことは人口の分布は区画毎の人口の多少はあるものの地域全体に分布しているが、医療機関はおおよそ人口集中地域に設置されていることが要因であると考えられる。ただ一部の医療圏では複数の市町村から構成されていることから人口集中地区が複数有り、各重心が共に人口集中地区ではない場所にあるため、効率的な機能別病床配置の阻害要因のひとつではないかと思われる。
【結語】
複数の市町村で構成される二次医療圏では、人口集中地域が複数ある場合が多く、人口重心と各機能別病床重心や患者重心が実際の人口集中地区からはかけ離れた場所になることがある。このことを踏まえて、ひとつの二次医療圏を分割することはその地域の医療機能を考慮すると妥当性は少ないと思われるが、機能別病床の一部については隣接する医療圏と連結した構成を考慮するなどの方策は必要だと思われる。