Japan Association for Medical Informatics

[3-L-5-PP14-6] 針刺し・切創/血液・体液曝露管理システムの導入と稼動後の課題

渡邊 翼1,2, 小山田 玲子1,2, 石黒 信久1, 菊池 宏子2, 蓮池 清美2, 早坂 光司3, 山本 健二4, 伊藤 豊4, 遠藤 晃4 (1.北海道大学病院 感染制御部, 2.北海道大学病院 看護部, 3.北海道大学病院 検査・輸血部, 4.北海道大学病院 医療情報企画部)

[背景]
医療従事者にとって針刺し・切創/血液・体液曝露(以下曝露)は、感染リスクの高い職業感染である。本院では年間約70件の曝露報告があり、これまで曝露発生後は感染対策マニュアルに基づき、受傷者の採血検査の準備から検査結果の報告、エピネットへの登録の一連の作業を労務管理係に一任していた。しかし、検査部門との調整から、結果のフィードバックまでに120分を要すること、エピネットの入力端末が労務管理係に限局していたため、勤務中に入力ができない、時間外や休日は端末が稼働していない等の理由でエピネット登録に支障をきたす等の問題があった。これらを改善すべく、2016年に部門システム内に針刺し・切創/血液・体液曝露管理システムを導入した。今回、システム導入後の状況と課題について報告する。
[導入システムの特徴]
部門システムにてオーダー発行、結果参照、患者登録が可能となった。曝露源患者の検査オーダーは、HBs-Agが陽性の時にしか実施しない為、不要な場合、後でオーダー取消ができるようにHBs-Ag、HCV-Ab、HIV-AbとHBe-Ag、HBe-Abの2種類のオーダーとした。また、採血提出から検査結果の確認まで60分以内で終了し、かつ部門システム上で検査結果を参照できるとともに受傷者のエピネット情報の登録も可能となった。なお、受傷者の患者情報が登録されていない場合は、自動で新規に患者情報を登録することとした。
[結果・考察]
本システムの導入により、検査結果のフィードバックまでの時間が半減した。また、これまで労務管理係が検体搬送を行っていたが、その必要がなくなり血液曝露のリスクがなくなった。さらに、自部署でエピネット登録が随時可能となった。一方、システム登録の際に2重3重登録データが散見されることから、さらなるUIの改良やエピシスにデータを簡便に移行する方法等を今後検討していく必要がある。