Japan Association for Medical Informatics

[4-A-1-PS14-5] 院内リスクコミュニケーションツールの活用

畑 武生 (大阪医科大学附属病院)

当院では2014年に電子カルテが本格稼働した。本演題では、当院の医薬品関連業務における主にリスクコミュニケーションツールとしての電子カルテ利用の現状を報告するとともに、稼働後4年弱で経験したいくつかの課題等を共有したい。処方オーダ時の禁忌、用法用量、または相互作用チェック機構等を備えた施設は多いと思われ、当院でも市販の医薬品情報データベースを用いて各種チェックを行っている。禁忌については相互作用または用法用量ほど情報が画一的ではなく、警告の出現頻度が非常に高い上に、臨床上不適切と思われる警告も混在するなどの問題が表出したため、当院では患者状態を限定し、妊婦に対する禁忌チェックを行っている。薬品等によるアレルギー情報は患者プロファイルに登録し、処方時にチェックがかかる仕組みとしている。聴取されたアレルギー情報の登録は担当の薬剤師が集約して行っているが、判断が難しい場合は先ず登録にまわす等、聴取する薬剤師は疑わしきは罰する傾向が強い。また当院では同一成分薬の一括登録には未対応のため、患者プロファイルへの登録作業そのものに一定の人的リソースが充てられているのが現状である。院外薬局において残薬がある薬剤が疑義照会により処方から削除となる例が増えているのは医薬品適正使用推進ならびに医療経済的に好ましいことであり、これは診療報酬というかたちで評価されている。しかし、次診察時には逆にその薬剤が必要であったのに処方漏れが起こることがしばしばある。前回処方歴のコピーを起点として新たな処方オーダを作成するのは必ずしも適切とは言えない。現状の電子カルテには、患者個人のカレントメディケーションリストのようなものを管理し、処方時はそこから選択する等の機能がないことも一つの課題ではないだろうか。