Japan Association for Medical Informatics

[4-D-2-OP27-2] 外来診療支援システムを用いた外来診療業務改善のための患者動態解析

田木 真和1, 島井 健一郎2, 岸上 雅哉1, 島田 光生1 (1.徳島大学病院, 2.千葉大学医学部附属病院)

病院の外来診療における待ち時間の短縮や待ち合いスペースの混雑解消などの改善は患者サービス向上にとって重要な課題である。従来、患者動態調査等の定期的な実施により、問題点の抽出と解決、業務改善を行っていた。現在、各医療機関では電子カルテ、オーダーエントリーシステム、医事会計システムの普及に伴い、患者の来院時刻、受付時刻、診察時間、会計時間の抽出・算出が可能である。これらのデータと患者の居場所のデータを連携することで、日々の外来患者動態を詳細に把握可能になると考えられる。
本研究では,外来患者の診療の流れとなる診療ステータス、居場所、時刻のデータを管理し、外来診療業務改善に患者動態データを活用し、その効果を評価することを目的とする.
徳島大学病院では、平成27年9月24日の新外来診療棟の開院に合わせて、外来診療支援システムを導入した。当該システムでは、診察ブロック毎に患者IDが組み込まれたバーコードを読み取るチェックイン端末を設置し、患者が診察ブロックに到着するたびにチェックインを行う。電子カルテや医事会計システムとも連携しており、患者の来院・受付から診察室への呼び込み、診察終了、会計開始、会計終了、入金済みまでの一連の流れをデータとして管理できる。
外来診療支援システムを導入し、適正に外来診療の場面に応じたデータが蓄積され、外来診療業務改善に有用となる外来患者動態の解析ができることが示された。しかしながら、外来患者は診察室のみならず検査部、放射線部、リハビリテーション部などの中央診療施設にも訪れるため、より詳細に外来診療業務の実態を解析するために、検査・リハビリ等に要している時間も抽出する必要があることがわかった。今後は、これら中央診療施設における部門システムの受付や実施のデータとも連携することで、外来診察のみならず病院内における外来・入院すべての患者に提供される外来診療サービス・機能の改善のための患者動態解析に発展させる予定である。