Japan Association for Medical Informatics

[4-F-2-OP29-3] 「患者紹介等に付随する医用画像についての合意事項」の受け取り側医療施設の遵守状況
~広島県における調査・分析~

今井 康介1, 守本 京平1, 中上 康次1, 戸政 達之1, 須藤 優1, 國重 智之1, 好村 尚記1, 田中 武志1,2, 津久間 秀彦2 (1.広島県医療情報技師会, 2.広島大学病院 医療情報部)

【背景】
 医用画像交換の臨床現場では,①検査日の変更(真正性,医療安全の阻害),②モダリティコードの変更(DICOM運用違反),③持ち込まれた医用画像の他施設への提供(責任の所在の不明確化)が問題となっている.それをうけ「患者紹介等に付随する医用画像についての合意事項」(以下:合意事項)が2016年9月に改定され,受け取り側が遵守すべき事項が新たに明文化された.
【目的】
 改定後の合意事項についての広島県内(以下,県内)での遵守状況の調査はこれまで実施されていないため,合意事項の認識状況及び背景の①~③の遵守状況を調査・分析する.
【方法】
 2017年3月9日〜31日の期間に,県内の全病院243施設とランダムに抽出した診療所150施設の計393施設に対して「医用画像の施設間連携に関するアンケート」(自記式多項目選択方式)を郵送し,FAXまたはWebでの回答を依頼した.
【結果】
 回答数は109(回答率28%)であった.そのうち他院からの画像取込みを行っているのは85施設で,合意事項を「認識し遵守している」が27施設(以下:A群),「認識しているが遵守できていない」が16施設(以下:B群),「認識していない」が42施設(以下:C群)であった.また,「①検査日の変更,②モダリティコードの変更,③特定のルール等がなく他施設の画像を提供」のいずれかを行っている施設はA群で9,B群で8,C群で22であった.
【考察】
合意事項を認識していないC群(分析対象の49%)のうちの52%が実際に①〜③を行っているため,更なる周知が必要である.しかし,認識していると回答したA群で33%,B群で50%の施設が①〜③を行っていると回答しており,単純に周知するだけでは問題は解決しない可能性が示唆された.そのため,A群では「遵守していると認識しているが実際には遵守していない」理由を,B群では「認識しているが遵守しない(できない)」理由を,今後調査する必要がある.