Japan Association for Medical Informatics

[4-I-2-OP30-5] IoTビックデータ利活用のためのME機器データ収集基盤開発の試み

杉山 治1, 小林 弘明2, 石田 匠2, 高瀬 和彦2, 黒田 知宏1 (1.京都大学医学部附属病院, 2.株式会社 たけびし)

現在の医療情報システム(HIS)は、情報の収集と確認を人が計算機端末に向かうことに頼っているため、大きな人的コストを必要とする上、情報入力・確認時の人的エラーや情報の確認ミスを原因とする医療インシデントが増加する傾向を招いている。近年病院情報システムに蓄積された医療ビッグデータを利活用した臨床判断支援システムの提案が多く行われているが、誤った情報に基づく臨床支援は、情報システムを盲目的に信用しがちなヒトの性質を考えると、情報システムが存在しないときよりもより危険を増大させる可能性すらある。医療ソーシャル・ビッグデータの利活用の効用を最大化するためには、人手を介さずに質の良い情報を収集し、人の能動的アクションに頼ること無く適切な情報を適切な人に適切なタイミングで提供する仕組みを実現することが必要である。
本研究では、臨床現場におけるME機器の位置及び稼働設定情報の収集基盤を整備し、臨床現場での実証実験を試みる。具体的には京都大学医学部附属病院のHISと接続するBLEを用いた電波灯台と、これらから収集した情報を蓄積・供給するシステムの導入・構築を行う。提案システムは、デバイスアダプタ、IoT Gateway、ME機器データ収集システムの3つのユニットから成り立つ。現状、ME機器にはワイヤレスの通信方式がないが、本研究で開発したデバイスアダプタを介して、IoT Gatewayに必要な機器情報を送信することが可能となる。そして、これらの機器情報と設置時に与えられた位置情報を組み合わせ、ME機器データ収集システム上のデータベースに値を蓄積する。
プロトタイプシステムによる位置情報の収集及び医療機器から稼働設定情報の取得を行う通信評価を行った結果、システムの接続が有効に動作することが確認でき、また、医療機器の稼働設定情報の取得更新タイミングを動的に行う必要性が示唆された。